2003年7月、全羅北道扶安郡蝟島(チョルラプクト・プアングン・ウィド)が、放射性廃棄物処理場の候補地と発表されるや、反核団体と一部の環境団体が、扶安に集結して、激しい反対運動を展開した。核は死であり、処理場は奇形児と奇形家畜を生む施設だという煽動が横行した。がい骨の描かれた垂れ幕が、扶安を覆った。一部の反核活動家や宗教指導者たちは、一日も休まずに反核講義を行ない、三歩一拝(三歩あるく度に拝むこと)で闘った。
◆蝟防処理場は実現せず、全国で再び誘致の申請を受けることになった。4地域の競合の末、一昨日の住民投票で、慶尚北道慶州市(キョンサンナムド・キョンジュシ)が放射性廃棄物処理場の建設地に確定した。慶州は陽性子加速器の設置、韓国水力原子力(株)本社の移転、3000億ウォンの特別支援などの恩恵を受ける。約2万人の雇用創出の效果があるともいう。慶州には、月城(ウォルソン)原子力発電所があり、他の地域より原発に対する理解度が高かった。4基の原発が電力を生産するのだから、廃棄物も受け入れて、地域発展を果たそうという市民の願いが、いい結果を導き出した。
◆金宗奎(キム・ジョンギュ)扶安郡長と蝟島の住民たちは、扶安で混乱と犠牲だけを呼び、処理場が他の地域にわたったことを、最も悔しがっている。大当たりを逃したわけだ。扶安郡議会が賛成6、反対6に分かれ、誘致申請の住民投票ができなくなるや、金郡長は産業資源部で、住民投票の機会を与えるように座り込みまでした。しかし、今回、4地域とともに住民投票を実施したとしても、反核団体が住民たちの意識に植えつけた原子力の恐怖心理が働き、慶州と全羅北道群山市(クンサンシ)よりも高い賛成率を出すことは難しかっただろう。
◆世界の環境団体が、原子力に対する反対運動をやめて久しい。極地の氷河が溶け、気候異変が続出する地球で、環境運動の最高目標は地球温暖化の防止に変わりつつある。二酸化炭素を排出する化石燃料に代わるエネルギーの中で、最も実用性の高いのが原子力だ。国内の反核団体が原発に反対しながら、大量破壊兵器の北朝鮮の核に沈黙することも奇妙である。これら反核団体は、扶安郡民と蝟島住民にいかなる責任感を感じているのだろうか。
黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com