国防部の過去史真相究明委員会(軍・過去史委、委員長=李海東)は19日、1980年代初めに学生運動に参加する大学生たちを強制徴集した「緑化事業」は、全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の指示で行なわれたことが明らかになったと発表した。
また、実尾島(シルミド)事件に関係した北派部隊員のうち2名が、無断離脱を理由に、同僚の部隊員たちによって殺害されるなど、部隊内で多くの人権じゅうりん行為があったことが明るみになったと、軍・過去史委は明らかにした。
▲学園緑化事業〓軍・過去史委の中間調査発表によると、全元大統領は1981年4月2日、「騒じょうにかかわった学生たちを前方部隊に入営する措置をせよ」と国防部長官に口頭で指示し、この指示は兵務庁長に伝えられた。
これを受け、国防部は対策会議を開き、同年12月1日に「騒じょう関連大学生特別措置方針」を作成して、大統領府に口頭で報告し、当時の内務部と対策推進のための合意書を締結した事実が、保安司令部と国防部の内部文書で確認されたと、軍・過去史委は明らかにした。
軍・過去史委側は、「このような状況から考えて、全元大統領が、緑化事業を直接指示した事実が確認された」と主張した。
当時、保安司令部は、緑化事業対象者として1121人の名簿を作成し、1982年9月から1984年12月までに1100人以上を強制徴集、このうち約900人を緑化事業で「順化」させた後、相当数を大学街動向監視および情報収集のための「秘密諜報部員」として活用したという。
政府は、1988年の5共(第5共和国)不正聴聞会で、強制徴集者は447人であり、このうち265人が秘密諜報部員として活動したと明らかにしたことがある。
軍・過去史委関係者は、「緑化事業の過程で6人が自殺などで死亡したことが確認された」とし、「今後、緑化事業の具体的な運用実態を調査する一方、被害者の名誉回復と補償対策などに関する研究を進める計画だ」と述べた。
▲実尾島事件〓軍・過去史委によると、朴正熙(パク・チョンヒ)政権時代、北派要員を養成した実尾島部隊は、1968年の1・21事態後、北朝鮮をしのぐほどの特殊部隊をつくって北朝鮮に対抗する目的で、中央情報部の指示に従って創立され、空軍によって管理されていたことが確認された。
しかし、軍・過去史委は、当時、部隊創設を直接指示した人物は確認されなかったと、明らかにした。
調査の結果、当時の空軍募兵官たちは、「教育を修了すれば、下士官(現副司官)や少尉に任官し、相当額の特殊手当てを支給する」という条件で、31名の部隊員を募集した。
軍・過去史委のチ・ヨンソンスポークスマンは、「部隊員31名のうち前科者は7名に過ぎず、彼らの犯行も重犯罪ではなく軽犯罪だった」と述べた。
また、部隊を無断離脱した部隊員2名が、教育隊長の指示によって、同僚部隊員たちに暴行を受け死亡するなど、1968〜70年の訓練過程で7名の部隊員が暴行や苛酷な行為で死亡したという。
部隊員たちは、訓練期間(3ヵ月)を終え、3年あまりの間、長期隔離され、非人格的な待遇や暴行、劣悪な食事状態で過酷な訓練を受けたが、約束した報酬が支給されず、部隊解体説などが出回った。そのことが直・間接的な背景となり、1971年8月23日に部隊を脱出したという。
軍・過去史委側は、「当時、軍当局は、脱出の過程で死亡した部隊員20名の遺体を遺族に知らせずに仮埋葬し、生存部隊員4名についても弁護人の選任権を与えずに裁判を進め、死刑にするなど、関連軍法に違反したことが明らかになった」と主張した。
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