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[オピニオン]権力者の下山

Posted January. 14, 2006 03:01,   

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政治権力は、虎と山行に譬えられることがある。ジョン・F・ケネディ米大統領は、このような言葉を残した。「昔、虎の背に乗って権力を得ようとした者は、結局、虎に食べられてしまった」。フランスのシャルル・ドゴール大統領も言った。「国民は虎のようなもので、まちがって対すれば権力者を飲み込んでしまう」。国民投票を通じて権力を強化したものの、国民投票の末に捨てられたドゴールらしい体験談だ。

◆民主山岳会を率い、政権を取った金泳三(キム・ヨンサム)元大統領は、「下山」の途に気をつけるよう言った。前任の盧泰愚(ノ・テウ)大統領をあてこすり、「権力は登山のように、上る時よりも降りる途中で事故が多い」と言って、自身を後継者に推すよう求めた。金泳三元大統領は、後任の金大中(キム・デジュン)大統領にも、「5年はあっという間だ。降りる時にけがをするから気をつけなければならない」と忠告した。任期末の息子の賢哲(ヒョンチョル)氏の拘束や金融危機で最悪の下山をした自身の痛恨の記憶を噛みしめて言ったのだろうか。

◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も、弾劾を突破した後の一昨年5月、延世(ヨンセ)大学でリーダーシップ特別講義をし、下山論を説いた。「権力を追い求めてきた者として、今は下山の途に入っている。降りる時が上る時より危険だと言われる。頂上の景色に未練は持たない。足をくじかずに、無事に下山したい」。そして、「ゆとりある心で山を降りるように、心を静めることが私がすべきことだ」と言って拍手も受けた。

◆ヨルリン・ウリ党の李富栄(イ・ブヨン)元議長が、盧大統領の「離党」関連の発言に失望し、自身のホームページに書き込んだ。「山の頂上に登り、天の近くで天の意を考えた者は、ただ謙虚に下山の途を急ぐ姿が望ましい」。大統領府の参謀たちが離党を止めたにもかかわらず、決心したように話す盧大統領に失望したともいう。盧大統領は、延世大学の特別講義で、「大統領は準備ができていない発言はできない。突然、質問を受けて、感情に動かされて答えてはいけない」と述べた。この言葉は果たして実践されているのか。準備された言葉も、準備されていない言葉も、不安と失望を生むだけのようだ。

金忠植(キム・チュンシク)論説委員 skim@donga.com