政府与党は昨日、共稼ぎの夫婦など1、2人世帯に対する勤労所得の追加控除を当分廃止しない、との立場を表明した。先月31日に財政経済部(財経部)が「積極的に検討している」との見解を明らかにしてから3日後のことだ。数百万の国民に直接的な影響を及ぼす租税政策で、このように右往左往の大騒ぎだ。昨日、与党政府間で下された決定は、5月31日の地方選が終われば、再びひっくり返される可能性が高い。
与党ヨルリン・ウリ党の禹済昌(ウ・ジェチャン)第3政策調整委員長が「政治日程に関連、党が負担を感じない時点に、政府と合意する考え」と付け加えたからだ。そうしたドタバタに、主な原因を提供している者が盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領だ。盧大統領は新年会見で「両極化解消に向けた財源作り」を強調することによって「税金騒ぎ」を増幅させた。主務省庁の財経部は先月24日、焼酎税率の引き上げを再び進める、との意向を示した。
そうなれば、事実上、増税を主導していた大統領府が悪化した世論に驚き、財経部に口頭で警告の意を伝えたことになる。選挙をダメにするつもりか、というしっ責だった。「共稼ぎ夫婦追加控除廃止案」も、与党によっていったんブレーキがかかった。票も得て税金もさらに収めようとする参加政府(現政府のこと)が繰り広げた「二重プレー」の結果だ。
経済政策をめぐる大統領府・内閣・与党の異なった意見は、たたでさえ不安な経済状況をさらに混乱させている。為替レート、株価、原油価格など主な経済指標の不安要因を収拾すべき政府や与党が、不安を加速化させている格好だ。ひとまず、為替レートの急落で1月の輸出実績は232億ドルで、前年同月比4.3%増にとどまった。
黒字の規模は5億9000万ドルで、昨年1月の5分の1だ。輸出する中小企業の3分の1が赤字を出しているという。それなのに、財経部と産業資源部は、為替レートの介入をめぐって口論ばかり繰り広げている。個人消費部門の負債調整が終わっていくにつれ、民間消費が蘇りつつある。そうした消費回復の傾向を、設備投資の増加に結びつけてこそ雇用も創出でき、所得の両極化も緩和できる。
景気が良くなる兆しを見せるやいなや、政府が企業と個人からさらに多くの税金を収めることにすがる姿を見せているから株価がゆれ動き、景気の見通しが再び不透明になるのだ。01年8月以降5年間も続いた景気低迷の後遺症を解消するためには、民間部門の活力を生かせる成長中心の政策を、一貫的に繰り広げていくしかない。