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[オピニオン]出師表の季節

Posted February. 06, 2006 03:45,   

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「遅い馬と鈍い刀のような才でも、力を尽くして、ずるくて凶悪な連中を退治します。それで再び漢の皇室を盛りたて、昔の都に帰るのが、陛下に忠誠する道です」。三国志に出る出師表の一句だ。中国三国時代の蜀国の宰相だった諸葛孔明が、魏国討伐のための出兵に先立って、泣きながら皇帝に捧げた文だ。王と民のために命をかけて戦うという諸葛孔明の真情が隋所に感じられ、古今の名文に通じている。

◆いつからか、出師表は出馬宣言を意味する言葉になった。選挙も一種の戦争であるからだろう。5月の地方選挙を控えて、多くの人が出師表を出した。広域自治団体長から基礎議会議員まで計3808人を選ぶ今回の選挙には、およそ2万4000人が出馬すると言うから、これからも出師表が濫発されるだろう。平均6対1の競争率だ。18日に予定されている与党ヨルリン・ウリ党の党議長選挙にも、既に8人の候補が出師表を出している。

◆彼らの出師表は意欲に満ちている。「大韓民国を汗で濡らす」、「死にかかっている地域経済を立ち直らせる」、「党を立て直す」…。言い方は違うが、結局自分だけが危機に陥っている国と地域を再建できる人材だということだ。しかし、一人一人を見てみると、果たしてそのような能力と資質があるかどうか、首を傾げざるを得ない。格や級を熟考せず、選挙があればとりあえず出馬してみる人、党を転々としている人、甚だしくは破廉恥犯の前歴を持つ人もいる。出師表は美しいが、行蹟はそうでないのだ。

◆社会学者らは、人が官職を追い求める動機を二つに分類する。官職が与える栄光と利得に関心を持つ「地位指向型」と、官職を通じてやろうとする事の成就に関心を持つ「課業志向型」がそれである。無限競争の世界化の中で、本当に必要な人材は後者であるだろう。出師表を出した人、もしくは出そうとしている人は、約1800年前の諸葛孔明の出師表を読んでみて、何が本当に国と民のための道なのかを深く考えてみるべきだ。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com