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崔鍾吉教授の遺族に18億4800万ウォンの国家賠償判決

崔鍾吉教授の遺族に18億4800万ウォンの国家賠償判決

Posted February. 15, 2006 04:47,   

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1973年、中央情報部(現国家情報院)からスパイ容疑で調査を受け、疑問死した崔鍾吉(チェ・ジョンギル)元ソウル大学法学部教授の遺族に対して、国家が賠償責任を負わなければならないという控訴審判決が言い渡された。

「消滅時效」の成立を理由に国家の賠償責任を認めなかった1審と違って、控訴審では、消滅時效が成立したとしても、民法上「信義則(信義誠実の原則)」に反する場合、国家が賠償責任を負わなければならないという判決を下した。

ソウル高裁民事5部(部長判事=趙竜鎬)は14日、崔氏の遺族が国家に対して起こした損害賠償訴訟控訴審で、「国家は、崔教授の遺族に18億4800万ウォンを賠償せよ」と言い渡した。

判決文は、「原則的に、同事件の遺族の損害賠償請求権は時效成立で消滅したものの、02年の疑問死真相究明委員会の調査の結果が明らかになるまで遺族は事件の真実を知ることができず、請求権を行使できなかったことから、その期間に時效が成立したとするのは不当だ」とした。

そして、「中央情報部のような巨大国家組職が、書類をねつ造する方法で組織的に事実を隠ぺいし、拷問被害者をむしろ国家に対する犯罪者に仕立てあげた事件で、国家が消滅時效を主張することは信義則に反する」と述べた。

▲「信義則」判決〓高裁は、国家の消滅時效成立の主張をしりぞけるために、信義則の法理を適用した。信義則とは、互いに相手の信頼に反しないよう、誠実に行動しなければならないという民法の原則。

過去の国家機関による人権侵害事件で、国家は形式的に消滅時效が成立したとしても、信義則上、被害者に対する賠償責任を負わなければならないというものだ。つまり国家は、国民の人権を保護する義務を負うため、国家がその信義を裏切った以上、それに対する責任と対価を支払わなければならないとする。

李容勲(イ・ヨンフン)最高裁判所長官は、昨年の最高裁長官の国会人事聴聞会で、「国家権力の反人権的犯罪に対して国民の人権を保護しなければならない国家が、消滅時效が成立したと主張することは、信義則に反する権利濫用だ」という考えを明らかにしている。

▲他の疑問死事件でも賠償が可能か〓今回の判決で、軍での疑問死や三清(サムチョン)教育隊暴行致死など、他の疑問死事件にも適用されるかどうかについては意見が分かれる。

三清教育隊の死傷者たちが国家を相手に起こした損害賠償請求訴訟で最高裁は96年、「大統領が、三清教育隊の被害者たちに被害補償をすると特別談話を発表したことは、政治的に国民の理解を求めたに過ぎず、国家の消滅時效の主張が信義誠実の原則に反する権利濫用に当たるとは言えない」とし、賠償責任を認めた高裁の判決を破棄した。

このため、他の事件に崔元教授の判決の法理がそのまま適用されると断定することは難しいと見る意見もある。

しかし、今回の判決は、国家の消滅時效の主張の不当性を直接認めたものであり、場合によっては、同様の事件に適用される可能性もある。

崔氏の遺族と国家のいずれも、最高裁に上告する計画はないもようだ。

一方、裁判所は月刊誌のインタビューで、崔元教授の遺族の名誉を毀損した当時中央情報部捜査官のチャ被告に対して、1審通り2000万ウォンを賠償するよう言い渡した。



wiseweb@donga.com