Go to contents

歴史と文化は違っても神話は一つ

Posted February. 18, 2006 02:59,   

한국어

「432」という神話的数値は、数世紀にわたる「天体観察」に関係する。今日は春分で、太陽が魚座に位置するが、イエスが生きていた時期には牡羊座にあった。その2000年前には牡牛座にあった。72年に1度ずつ、あまりにも遅く感知することさえ困難な「春分点の歳差」。歳差運動が1回転してすべての惑星が回転を終える「黄道帯の周期」になるためには、2万5920年かかる。それをメソポタミア60進法で分けると432になる!

この本(原題『The Mythic Image』)は、派手なほど多様に繰り広げられる世界神話のスペクタクルの中から、人類の精神史的な統一性を探る。その統一性の上で世界のすべての宗教と神話は同等だ。すべての神話は人類の偉大なる一つの話、単一神話なのだ。

20世紀最高の神話解説家、比較神話学者と呼ばれる著者。この本は「神話は、あなたが倒れかかった所にあなたの宝物があることを知らせてくれる」という彼の全生涯にわたる神話研究の決定版だ。

彼は、夢を通じて神話に向かう扉を開く。夢が無意識的な内面世界で見られるが、神話も同じだ。「神話の真の意味は象徴だ。神話は概念体系から来るのではなく生の源泉からほとばしる。心の止まっている所から流れ出る。神話は事実ではなくその向こうを示す。」だから、彼はあえて論証したり説明したりしない。視覚芸術(図版)を媒介として、言語が去った所で話はさらに深い響きを残す。

本書で、新約・旧約聖書は一つの神話として、そして人類の数多くの神話の中で、豊かで美しいテキストとして蘇る。

例えば、現代人たちが文字通り受け入れがたい聖肉身の教理は、イエスという一人の中に神と人間が共存していることを、神は至る所にあり、あなたの中にあることを象徴する神話的テーマとして再解釈される。「天の王国はあなたの中にあり、あなたの外にもある。」(トマスの福音)

「若い聖母」(上写真1)も、神々と精霊は私たちの内にあることを雄弁する伝説的で神話的なイメージとして姿を現す。そして「開かれる聖母像」(写真2)でイブが食べた罪のリンゴ(「世界のリンゴ」)を持っている聖母は、ついに世界と神の地平として自分の姿を現わすのだ(写真3)。

キリスト教的メッセージの各象徴は、このように詩的で神秘で霊的な意味を通じて、人類が持つ他の神話的伝統の各象徴との一致点を見出す。

かつてトマス・マンは、彼の神話4部作『ヨセフとその兄弟たち』で、「月の文法」という新造語を通じて神話的思考とその意思疎通の秩序についての深い洞察を示してくれた。「日中の光と月の明かりは違う。物事は月の明かりの下で見るときと太陽の下で見るときでは違って見える。聖霊には月の明かりのほうが、より真実の光を生み出すように見えるだろう…。」

原題は『The Mythic Image』(1974年)。



keywoo@donga.com