若い世代がテレビをあまり見ないというのは目新しいニュースではない。コンピューターの前に座っている時間が増えるにつれて、テレビ視聴が相対的に減ったものだ。しかし、中年世代は依然としてテレビ視聴を楽しむ。時間の多い老人層はさらに大きな顧客だ。放送番組も年寄り世代の好みへ徐々に目を向けている。
◆このような流れは、テレビをめぐる地殻変動の氷山の一角に過ぎない。米国でこのほど発刊された報告書「我々が知るテレビの終末」は、これからは「テレビの録画視聴」が普遍化するものと予想している。すでにハードディスクの内臓されたテレビが人気を集めている。テレビを見ている途中で、他の用事ができた時、スイッチひとつで、あとで戻ってきた時、前見ていた場面から見ることができる。ハードディスクが録画しておくからだ。CMを除いて録画してくれる機能もある。「広告のないテレビ」の登場だ。
◆放送局のインターネットホームページに接続して、以前放送された番組を見る視聴者も増えている。ポータブル・マルチメディア・プレーヤー(PMP)があれば、昨晩の番組を見ながら地下鉄で出勤することもできる。このような録画視聴の新しいパターンは、視聴者が主導権を握るようになることを意味する。これまでは放送局が番組を流す時間に合わせてテレビの前に座っていなければならなかったが、これからは視聴者が自分のスケジュールに合わせることができる。革命的な変化だと言わざるをえない。
◆現在の視聴率調査は、リアルタイムで視聴する世帯が対象になっているため、録画視聴は統計数値に反映されない。デジタル機器に慣れている若い世代の視聴率は実際より低く出る可能性があるのだ。「若者がテレビから離れている」とし、地上派放送が主張している「テレビ危機論」は大げさな面がある。地上派テレビの独占的な地位にはまだ揺るぎがない。しかし、未来のことはわからないものだ。明らかなのは、いい番組は録画視聴とインターネットの威勢の中でも認められるという事実だ。地上派テレビが先にずさんな経営と「コード偏向」から脱して、視聴者の共感が得られるコンテンツを製作することが、変化を生き残る道だ。
洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com