「日本の平和憲法を守ることが、在日韓国人の使命だ」
韓国国籍を持つ初の日本弁護士として、在日韓国人の法的地位向上のために献身した金敬得(キム・キョンドゥク)弁護士の遺言が25日、東京の全電通会館で開かれた追悼会で公開された。
A4用紙8枚の分量の遺言は、胃がん診断を受け、病と闘った故人が昨年10月、病床で口述した内容を弁護士事務所の職員が書き取ったものだ。
「提言」という名で発表された遺言で、金弁護士は、「日本憲法の平和主義は、植民地支配の侵略に対する反省の結果、生まれた。在日韓国人の存在は、植民地支配によるものであるだけに、在日韓国人こそ平和憲法の体現者だ」と強調した。
また、「戦後60年間、日本に住み、同胞5世の誕生を迎えた在日韓国人は、日本と韓国、北朝鮮間の民族対立の感情を緩和し互いに理解を深めるうえで、重要な架け橋の役割をしてきた。日本の国会は、一日も早く外国人地方参政権を実現させなければならない」と求めた。
故人は遺言で、1976年に司法試験に合格したが、日本の司法部が、「外国人は司法研修院に入所できない」として帰化を促したことなど、故人が経験した差別を回顧した後、日本政界の改憲の動きを批判した。
1980年代初め、延世(ヨンセ)大学語学堂で故人とともに韓国語を学んだ朝日新聞の若宮啓文論説主幹は追悼の辞で、故人は新聞記者になろうとしたが、当時、朝日新聞が国籍を理由に採用しなかったエピソードも公開した。
若宮主幹は、「故人が新聞記者になっていたら、問題意識をもつ立派な記者になっただろうが、弁護士として大きなことをしたから、記者にならなくてよかった。故人のおかげで、今は日本のマスコミは、国籍に関わらず入社の門戸を開放するようになった」と述べた。
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