釜山市(ブサンシ)水協組合長選挙を1日後に控えた先月27日午後5時、釜山沙下区長林洞(サハグ・チャンリムドン)の海岸。小型漁船船主4人がお酒を飲んでいるテントの中に、釜山西区(ソグ)選挙管理委員会の不正選挙監視班が入ってきた。
「今日は候補が来ませんでしたか」という李銀姫(イ・ウンヒ、女性)監視班長の質問に、チェ・ギルホン(64)氏が直ちに「まったく。彼らはみんなお金を持っているんだから、持っていない者の飲み代を、少しぐらい出させてもいいだろうのに。政府がそうさせないんだから」と不満を吐露した。
すると、一緒にお酒を飲んだソン・スンテク(60)氏が「あいつらが酒を買ってくれたって、当選したら、その分、絞り上げられるんだから」と話した。李班長が「これからは、組合長選挙も選管委で管理するので、焼酒を奢ってもらったりすれば50倍の罰金を払わなければなりませんよ」と話すと、金某(66)氏は「アメ玉でも1個くれたらいいほうだ。最近はそんなこともない」と話した。
今、地方では「静かな選挙革命」が起きている。
毎回、過熱混濁で問題の絶えなかった全国農水畜協と山林組合長選挙が、かなりクリーンになっている。各組合法の改正により、昨年6月から中央選管委が組合長選挙を委託・管理しているからだ。
昨年6月、全羅南道咸平郡(チョンラナムド・ハムピョングン)の山林組合長選挙から現在まで、選管委が管理した各種組合長選挙は合計783ヶ所(選挙人数120万7759人)だ。昨年は259ヶ所で、今年は1、2月だけで524ヶ所にもなる。
地元の組合長は5000万ウォン前後の年俸に別途の活動費が支給され、地元の機関長に準ずる待遇を受ける。このために過去の地域組合長選挙は「いっそのこと、直選制を廃止した方がましだ」との話が出るほど、競争が熾烈だった。選挙後は、その後遺症も大きかった。
しかし、今では少なくとも、露骨なカネのばらまきは無くなったというのが選管委と組合側の共通した評価だ。
3日に行われる予定の全羅南道霊巖郡(ヨンアムグン)シンブク農協組合長選挙に出馬した崔圭根(チェ・ギュグン)候補は、「今の制度なら、組合長選挙もつらくない」と話した。02年に出馬したときとは比べられないほどクリーンになった選挙雰囲気のためだ。
「当時は、毎日夕方になると20〜30人ずつ尋ねてきて、『相手候補は今、支持者たちにお酒を奢っている。こちらはどうして何もしないのか』と言って、夕飯を奢らされた。さらにその中には組合員でない人もいた。今は奢ると言っても、みんなが避ける。科料を50倍も払わなければならないからだ」
また、別の候補である李起雨(イ・ギウ)氏は、「選管委が選挙管理するため、出馬を決心した」と話した。以前は組合員たちも接待を当たり前と思っていたが、今はお金がなくても出馬することができるようになったという。
7日に予定の江原道江陵(カンウォンド・カンルン)水産協同組合長選挙に出馬した尹栄吉(ユン・ヨンギル)候補も、「今までは選挙のときにいつも近くの食堂には空席がなかったし、お金のない人は事実上、組合長選挙に出馬することができなかった」とし、「今のような雰囲気で選挙が行われるのならばと思う」と話した。
選管委の選挙管理が組合の業務遂行に役に立つだろうという評価もある。
釜山市水協組合長に当選した林相奉(イム・サンボン)氏は、「これまでは地域の新任組合長が、選挙のときに告発を受けるため、2、3年は検察や裁判所に出入りしなければならず、仕事のできない組合が多かった」と話した。
選管委の関係者は「組合長選挙のような『生活の中の選挙』が、公職選挙より選挙文化に及ぼす影響がもっと大きい」とし、「組合長選挙がクリーンになれば、公職選挙にも大きな影響を与えるだろう」と話した。
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