▲布石〓序盤には基本の技がしっかりできているように見えた。上手の攻撃にもめげないで打ち返してくる模様が、囲碁にそれなりの自信を持っているようだった。彼が囲碁に初めて接したのは1992年のこと。18級にもならない友人がパリのあるカフェーで彼に囲碁を教えてくれたそうだ。
「その時は石取りゲームに過ぎなかったです。後は結び、つまり計家をどうやってするのか分からなかったです。そうしているうちに、どの人が私たちが碁を打っている様子を見ては、二つの目を持って買う方法、計家する方法を教えてくれたんです」。
01年、彼の囲碁人生は新しい転機を迎える。毎年開かれる欧州アマチュア選手権大会に参加した韓国のユン・ヨンソン4段に9点の指導対局を受けることになったことだ。
「9点で完敗を喫しました。囲碁の深さは本当にすごいと思いましたね」。彼は以後、欧州囲碁大会に出席しながら、明智(ミョンジ)大学囲碁学科の学生らと知り合うようになった。とうとう昨年5月、2ヵ月間の休暇を出して、明智大学で過ごした。その時、韓国の囲碁海外普及の立役者のハン・サンデさんに留学を勧められた。
▲中盤戦闘〓彼は対局序盤、気勢を上げるようだったが、底が現われ始めた。上手(記者)が盤上のあちらこちらをかき回しながら混乱するようにしたら、徐々に崩れかけていた。中盤戦がピークに達するごろ、4点の効果は2点の水準に落ちた。
パリに帰った彼は、通っていたコンピューターサービス会社(アトスオリジン)をやめて、ソウルへの留学準備を始めた。彼の父親は息子が全く知らない韓国で、それも囲碁という馴染みの薄いゲームのため留学すると言ったら、「すぐやめろ」と怒鳴りつけたが、囲碁が命ほど大切になった息子の意志を挫くことはできなかった。
「日本のプロ棋士とも碁を打ってみたんですが、日本の囲碁はこぎれいで精製されている囲碁ですが、活力が足りません。それに比べて、韓国の囲碁は活発で戦闘的な面が気に入っています。特に、あちこちでよくけんかを広げるイ・セドル九段が好きです」。
彼にどんな気風を持っているかと聞いたら、ただちに「初心者気風」と答えた。まだ実力が弱くて気風そのものがないという意味だそうだ。実力は弱くても囲碁の深みは知っているようだった。
▲結び〓終盤頃、もう白の逆転の雰囲気が感知される。彼は一生懸命計家をやってみたら、頭を横に振る。それでも石を投げなかった。上手に一手でも学びたい様子だった。囲碁を終えて、家を数えてみたら、白47対黒34。記者の13家の勝利だった。彼は、「序盤には良かったのに…」と残念がった。記者は彼はアマ初段と判定した。
2年間勉強したら、どれぐらいの実力になりそうかと聞いたら、「落とし穴のような質問だ」と笑う。懸命に勉強するだけだが、目標はアマ4段だという。
それでは2年後には何をするつもりかまた聞いた。
「可能性は開かれています。韓国に残るか、フランスに帰るかはその時になって決めるつもりです。今は食べて寝る時間の他は、囲碁のことだけを考えています」。
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