●団結すれば大企業も怖くない
モールドゾーン(mold zone)は9社の中小企業が04年、それぞれの専門技術で団結して作った「技術連合軍」だ。
中心的な役割を果たすDNCゾーンという会社が仕事を受注して設計をすれば、残りの8社が削り—熱処理—研磨—組み立てなどの工程別に、各社の専門性を発揮する方式だ。
生産された製品はモールドゾーンという統合ブランドで販売されるが、実際にはモールドゾーンという会社はない。工程別に専門化された企業が別途法人として存在しながら、必要なときに団結して働くという点では、「仮想企業」であるわけだ。
モールドゾーン生産方式の最大のメリットは、各社が本来の業務にだけ専念できるようになっていること。
既存の金型生産方式は、零細な金型各社が大手企業から工程別に仕事を受注しなければならなかった。このため零細企業の社長たちは、昼は仕事を取るために走り回り、夜は納期に合わせるために働らかなければならなかった。
モールドゾーンで精密加工を担当するソンファンテックのアン・ジェオク代表は、「自分が最も自信のある部分にだけ専念することができ幸せだ」とし、「以前は仕事が多くても利益が少なく、機械購入費と人件費を差し引くと、実際に残る金額は月200万ウォンもなかった」と話した。
●2年で売上げ6倍に急増
何より大きな収獲は、似たような各零細企業がどんぶり勘定式に運営してきた金型製造に「標準化」を取り入れ、「顧客の信頼」を得た点だ。
設計から加工・組み立てなどの全工程が全てインターネットで管理されているので、バイヤーの要求に速かに対応することができるようになった。1ヶ所に各種の設備と人力を共有したから、原価は落ち、納品日は平均90日から60日に短縮された。
モールドゾーンのこのような生産方式は、驚くべき経営成果につながった。モールドゾーンを構成する9社の売上げは合計25億ウォンに過ぎなかったが、昨年は150億ウォンに増加した。
DNCゾーンの李チャンホ社長は「今年は京幾道華城市(キョンギド・ファソンシ)に中・大型の金型専門生産工場である第2モールドゾーンを建設し、250億ウォンの売上げを目指している」と説明した。
多くの企業が協業で成し遂げた成果を公平に分ける事は簡単ではないが、モールドゾーンは「e−マニュファクチャリングシステム」で解決した。同システムは全体生産過程から、それぞれの工程寄与率を正確にコンピューターが算出してくれるソフトウェアだ。
同プログラムを開発した韓国生産技術研究院の李ソクウe−加工工程チーム長は「原価、発注金額、工程別の費用などに関する情報が公開される」とし、「企業間の協業が必要な製造業分野では、どこでもこのシステムを適用することができる」と説明した。
韓国科学技術院(KAIST)の李テオプ産業工学科教授は「モールドゾーンはそれぞれの企業がインターネットを通じ、まるで一つの企業のように活動するという点で、仮想企業の一つの形」とし、「国内中小企業が競争力をつけることのできる良いモデル」と評価した。
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