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「パチ、パチ」棋院の碁を打つ音、思い出の中へ…

「パチ、パチ」棋院の碁を打つ音、思い出の中へ…

Posted March. 14, 2006 03:37,   

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「パチ! パチ! パチ!」

10日午後6時半ごろ、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)永登浦洞の「ファラン棋院」。息づかいさえ聞こえないなか、碁を打つ音だけが軽快に響き渡った。白髪まじりのアマチュア棋士2人の眼差しは碁盤を突き出そうに鋭かった。

2人は正午に棋院をオープンし、およそ6時間にわたってケーブルテレビで再放送される地上波番組を見て日を過ごしていた柳ヘウン(63)社長が迎えた、初めてのお客さんだった。ユ社長は満面に笑みを浮かべて、横から手を教えてあげた。

午後8時が過ぎて8人の高齢者の方が集まると、高らかに笑う声と残念がる歎声が棋院を埋めた。夜の12時を過ぎて「家に帰ろう」という声があがったりもしたが、誰も立ちあがらなかった。「もう1回しよう」という提案に快く同意した彼らは、午前2時過ぎになってこそ、残念ながらもようやく立ちあがった。

ファラン棋院はおよそ10年前までも、60坪に備えられた100席余をぎっしりと埋めていた「名所」だった。一度入場するためには列に並んで待たなければならないくらいだった。

現在、この棋院は20坪に減った。儲からず残り40坪はマンガの本をレンタルする店に変わった。棋院の1日使用料は4000ウォンで10年前も今も変わらない。だが、最近棋院を訪ねる人は1日10人前後に減った。利用客は皆、近所に住むお年寄りの常連さんだ。

ユ社長は「10年前は一月の売上げが600万ウォン以上だったが、最近はマンガの本の店で稼ぐ月100万ウォンの収入で、棋院を運営している」と伝えた。1980、90年代に「町内会館」の役割を果たしていた棋院が消えつつある。正確な統計はないが、専門家の推定によると、棋院数が10年前に比べて10分の1に減ったという。90年代半ばから広がりはじめたインターネット上の囲碁が、棋院を追い出したわけだ。

「月刊・囲碁」の李聖九(イ・ソング、41)編集長は「90年代初めまで鉠薫鉉(チョ・フンヒョン)、李昌鎬(イ・チャンホ)などプロ棋士の影響で好況を見せていた棋院が、インターネット囲碁が登場した後、急減した」と話し、「囲碁人口が減ったわけではなく、棋院を訪ねる人が減ったものだ」と語った。

インターネットの囲碁関連サイトは毎年、メンバー数を増やしている。04年9月に約23万人だったあるゲームの囲碁サイトのアクセス者は、先月約72万人に増えた。ネット囲碁の入会者数は毎日約1500人ずつ増え、300万人を突破した。

3年間、インターネットの囲碁を楽しんできた金ドンチョル氏(33)さんは「いつでもレベルの合う人と碁を打つことができることから、棋院よりネットの囲碁がはるかに効率的だ」と話した。

だが、「棋院マニア」たちは、残念な気持ちを隠し切れない。15年間にわたってほぼ毎日のようにファラン棋院を訪ねてきたという金チャンボクさん(62)は、「棋院でお茶を一杯飲みながら、顔をあわせて打つ碁こそ、本物の囲碁だ」と語った。



ditto@donga.com