盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は昨日、与党ヨルリン・ウリ党の鄭東泳(チョン・ドンヨン)議長と大統領府で会った直後、「党の意思を尊重する」とし、李海瓚(イ・へチャン)首相の辞意を受け入れる考えを明らかにした。アフリカ訪問期間中、「3・1節(独立運動記念日)ゴルフ」に関する盧大統領の沈黙について、国内では多くの観測が出たが、帰国するやいなや決断を下した。国民世論を受け入れた理にかなった決定だ。
しかし李首相は、公正取引委員長と環境部長官の提請を終えた後に退く予定だ。さらに、後任首相が直ちに指名されても、国会人事聴聞会と承認投票まで1ヵ月近い時間がかかり、公務員社会の動揺と行政空白は避けられない。
ただでさえ今年初めの5省庁の長官更迭と今月初めの4省庁の長官の「地方選挙出馬」で、公職社会では主要政策決定が先送りされる「組閣後遺症」が現れている。特に、長官人事聴聞会の導入で、新長官が就任するまで1ヵ月近く「なにもできない」という自嘆の声が、官僚たちの間で出ている。
さらに、姜哲圭(カン・チョルギュ)公正取引委員長の任期が9日に終わったにもかかわらず、政府は、後任任命を延ばしている。委員長の空席状態が続くと、全国公務員労組公正取引委支部は、「交代時期が予測可能な公正取引委員長の後任がまだ任命されていないことは、参加型政府の職務放棄だ」という声明まで出した。地方自治体レベルでも、地方選挙出馬予備候補たちの相次ぐ辞任で、許認可業務がマヒする状況だという。上から下まで「総体的な行政空白」が起こっているということだ。
「人事が万事」という言葉のように、人事は適時に適材適所で行われなければならない。時期を逸したり、「コード」重視で押しこんだりすれば、公職社会が「伏地不動(地に伏して動かない)」に陥り、その被害はそのまま国民に跳ね返る。
盧大統領の課題は、1日も早く安定した国政運営システムを再構築し、国力の浪費を最小化して、民生に尽力することだ。その前提は、まさに国民の傷ついた心を癒し、公職社会を取りまとめ、業務に全力を尽くす首相候補を直ちに任命することである。また、政経癒着の悪臭が漂う「ゴルフゲート」をめぐる国民的疑惑を徹底的に究明することで、政府と政権に対する信頼を取り戻さなければならない。