18日午後8時、ソウル東部のトゥクソム遊園地にある船上カフェ「ウィナスマリーナ」の1階。カフェのドアが開き、お馴染みのウェディングソング『新婦へ』が流れ始めた。カフェの内部は数百輪のバラで飾られていた。ドライアイスの煙とピンクの照明が神秘的な雰囲気を醸し出した。
今週末に結婚する予定のクォン・スヨンさん(30)は婚約者のイム・ユンジュさん(27・女)を連れ出して「ラブレター」を読みあげた。
「僕のことを信じて、結婚を決めてくれたことに感謝し、天国でも一緒になりたい」
イムさんはクォンさんに目を合わすこともできず、涙を流していた。
クォンさんは「結婚する日は決まったが、結婚前に素敵な思い出を作りたくて、サプライズのプロポーズを準備した」と話した。
今年は200年に1度と回ってくると言われる「双春の年」。陰暦で「立春」を二度迎える「双春の年」に結婚すれば吉祥と見なされているせいか、結婚式を挙げようとするカップルが急増している。結婚日程を繰り上げたカップルらで、すでに有名結婚式場は超満員だ。結婚を控えた人々のこうした多様なプロポーズは、当然の行事のように位置付けられつつある。
▲結婚式場、11月までは予約でいっぱい〓主要ウェディングホールと有名ホテルは、週末のウェディング予約が11月まではほぼ埋まった状態。ソウルにあるIホテルの結婚式件数は、昨年第1四半期の28件から今年同期43件へと大きく増えた。また、昨年の第2四半期には63件だったが、今年は同期序盤ですでに61件を上回っている。
ウェディング・コンサルティング専門会社「デュオ・ウェディン」の場合、昨年第1四半期に比べて、相談件数が40%、成立件数が約20%、それぞれ増えた。
男性側は結婚を控え、差別化されたプロポーズの工夫で頭を悩ませている。一家・親類全員が集まり、厳粛な雰囲気のもと行われる格式ばった結婚式ではないプロポーズを、女性の側もそれとなく期待しているからだ。かつて、プロポーズは男性の求婚を意味したが、最近では結婚日程を決めた後、「愛」を確約する特別イベントを意味している。
あるプロポーズ代行会社のユ・ドンフ代表は、「2000年から映画などに影響され、イベントっぽいプロポーズが盛んに行われはじめた」とし、「カフェを借りたり劇場をレンタルして、エキストラを動員し、芸能人のプロポーズを再現したいという要請が最も多い」と伝えた。「映画再現タイプ」ではない「クラシックタイプ」や「わがままタイプ」のプロポーズもある。
▲「敬けん」から「祝祭」へ〓最近のプロポーズは皆が共に楽しむ祭りとカーニバルの形式になりつつある。友人や同僚らが見つめている前で、他人とは異なったものを見せ、出席者を喜ばせたいとのことだ。
文化評論家の金ホンシク氏(32)は「権威と理念主義から抜け出した大衆文化の影響と、サッカーのワールドカップ大会を経験し、何事にも祭りの雰囲気や楽しさを加えたいとする『愉快・そう快・痛快コード』のために、プロポーズや結婚も『敬けんモード』から祭りに変わっている」と分析した。
だが、多くの経費が費やされるプロポーズは、当事者にストレスを与え、結婚本来の意味を色あせさせると懸念する声もあがっている。
梨花(イファ)女子大学社会学科の咸仁姫(ハム・インヒ)教授は、「若年層は結婚の意味を自ら見いだそうとしているが、イベント作りに執着しているようだ。形式だけに没頭したら、ややもすれば本来の意味を喪失しうる」と指摘した。
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