ローマが地中海の覇権をめぐってカルタゴと行った第2次ポエニ戦争(紀元前218〜202年)中、ローマの執政官(軍の総司令官に当たる)として最前線に出て戦った者は25人だった。このうち8人が戦死した。ローマはまた、20年期限の無利子である戦時国債を発行して、富裕層や元老院の議員などの高位層に割り当てた。ローマ史専門家で日本人の塩野七生氏がローマ帝国1000年の繁栄の秘訣に挙げたノブレス・オブリージュ(Noblesse Oblige=上流層の道徳的責任)だ。
◆朝鮮王朝の王室は、戦乱が起きると逃げるのに精一杯だった。しかし一方で、命と財産をかけて戦った名門の家も多かった。豊臣秀吉の朝鮮侵略の時、義兵を起こして戦って、親子3代ともに戦死した高敬命(コ・ギョンミョン)の家門などが例に挙げられる。また、韓日の強制合邦になると、6兄弟が、現在の金額で1000億ウォンに達する財産を処分し、満州で独立運動を展開した李始栄(イ・シヨン)元副大統領の家門もそうである。「100里内で飢え死にする人がいないように」という家訓を守って、12代にわたって万石取りの大地主の地位を守り続けた慶州(キョンジュ)の「お金持ちのチェ家」もある。
◆麻薬服用などのトラブルを起こしてきた英国チャールズ皇太子の次男ハリー(21)王子がこのほど、陸軍士官学校を卒業した後、アフガニスタン最前方の勤務を志願した。第2次世界大戦に参戦した祖父フィリップ公、空軍操縦士として勤務した父親のチャールズ皇太子、1982年のフォークランド戦争の時、叔父のアンドリュー王子に継承される王室の伝統に従ったものだ。英国の王室がたまには醜聞に晒されながらも、国民の愛情を失わない秘訣でもある。昨年、ミドルセックス大学の深層調査結果、英国王室の「社会的責任の移行度」は55%で、国連(50%)よりも高い数値が出た。
◆ローマは、不正と贅沢といった「内部の敵」のため滅びた。ちょうど国家清廉委員会が中高生1000人を対象に調査したら、78%が「韓国社会は腐敗した」と答えた。それそれなのに、政界では不法公薦献金を「特別党費」だと言い張るなど、道徳不感症が蔓延している。社会の内部崩壊を防ぐためにも、地方選挙で有権者が厳しい「票の審判」をすべきである。
李東官(イ・ドングァン)論説委員 dklee@donga.com