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[社説]施行令ひとつで国民を丸裸にする「乱暴政府」

[社説]施行令ひとつで国民を丸裸にする「乱暴政府」

Posted May. 30, 2006 03:08,   

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政府は、7月から、住宅取引申告地域で住宅を購入するさい、実取引価格だけでなく、資金調達計画や、実際に入居するかどうかの申告を義務づける住宅法施行令を改正すると予告した。金融機関の預金額や不動産売買額、株式債券売却額、所持金はもとより、金融機関の融資金や社債のような借入金も記載しなければならない。脱税や投機に対する税務当局による資金の出処の調査が、住宅取引申告地域の住宅購入者全員を対象にして拡大するということだ。

現在、住宅取引申告地域は、ソウル江南(カンナム)3区、龍山(ヨンサン)、陽川(ヤンチョン)、江東(カンドン)、永登浦(ヨンドゥンポ)、麻浦(マポ)、城東(ソンドン)、銅雀(トンジャク)区や、京畿道城南市盆唐(キョンギド・ソンナムシ・ブンダン)、高陽市一山(コヤンシ・イルサン)、果川(クァンチョン)、龍仁(ヨンイン)、水原(スウォン)、光明(クァンミョン)、軍浦(クンポ)などの首都圏都市に拡がっている。これらの地域で住宅を購入する1世帯1住宅実需要者の財産明細まで公開せよと要求することは、国民のプライバシーと財産権を侵害する過剰行政だ。デパートにスリがいるかも知れないという情報だけで、刑事がすべての来客の買い物かごやポケット、財布を調べて、ショッピングの明細を書けと強要することと、特に大差ない。

建設交通部は、「国税庁が同資料を活用する計画であり、投機抑制效果がある」と説明した。デパートの来客をすべて捜索すれば、スリを防止する効果があると言うのも同然だ。

住宅法施行令改正案は、投機抑制という行政目的にのみ執着するあまり、それにともなうばく大な国民の不便を考慮していない。政策が妥当性を持つには、目的の正当性だけでなく、それを実現する手段の適切性を備えなければならない。政策が追求する公益と、そのために侵害される私益の間のバランスも考えるべきだ。

同施行令案がそのまま確定すれば、実需要者の取り引き意欲が大いに萎縮し、憲法が保障する居住移転の自由が事実上制約を受ける状況がもたらされるだろう。このような規制は、個人の正常な経済活動を困難にし、結局は、自由市場経済の取引秩序を損傷する恐れがある。

基本権の侵害の素地が濃厚な規制を法施行令改正だけで敢行するとは、実に無謀な行政である。このような無理な法規で国民を丸裸にして虐待するというなら、ファッショ独裁よりもひどいという言葉さえ出かねない。