野球で投手が投げる変化球に「ナックルボール」というのがある。人差し指と中指の爪を縫い目に立てて、手首を曲げないではじくようにして投げる球だ。リリースされたボールは、回転がかからないため揺れながら落ちていく。
ドイツW杯公認球「チームガイスト」に対して、英国と日本の科学者たちは「まるで野球のナックルボールみたいな揺れ方をする」としている。GKにとっては悪夢だが、ミドルシュートが得意な選手には恵まれたボールだ。今大会でとりわけミドルシュートによるゴールが多い所以だ。
サッカー韓国代表メンバーには、そのチームガイストと相性ぴったりの選手がいる。「黄金のウィング」という異名を持つ金東進(キム・ドンジン、24、FCソウル)がその主人公。
金東進はアタッカーではない。国際Aマッチ35試合で入れたゴールは2ゴールに過ぎない。しかし彼の左足シュートは、韓国代表ではトップに数えられる。
金東進は、2004年12月のドイツとの親善試合で、強烈なミドル弾を放っており、今年1月にあった香港カルスバーグ杯・クロアティア戦でも見事なキャノンシュートを放った。オリンピック代表として出場した2002年アテネ・オリンピックのギリシア戦でも左足のミドルシュートで先制ゴールを決めている。
金東進は昨年8月にあったW杯アジア地域最終予選・サウジアラビアとの最終戦でイエローカード2枚を受けて退場し、13日のトーゴ戦では出場できなかった。しかし19日のフランス戦にはスタメン出撃が有力だ。
金東進はディック・アドフォカート監督が好む代表的なマルチプレーヤーだ。「アドフォカート」号が発足して以来、金東進は17回の公式評価試合で15試合に出場し、中13試合では先発で出場した。
金東進の左足は今度も輝くだろうか。
uni@donga.com