北朝鮮が咸鏡北道花台郡舞水端里(ハムギョンプクド・ファデグン・ムスダンリ)の「テポドン2」または「テポドン2」改良型ミサイルに燃料を注入したにもかかわらず、発射しないため、その背景をめぐって様々な分析が出ている。
▲天候の悪化〓先週、韓国と米国、日本政府は、早ければ18日にも、ミサイルが発射されると考えていた。しかし、ミサイルが発射されないことをうけ、韓国政府の一部では、ミサイル発射基地のある舞水端里地域に雲が立ち込めて雨が降るなど、気象条件が悪かったためだという観測が出ている。
天候が悪ければ、ミサイルが目標地点まで予定された経路を通るかどうかを確認するレーダーが、雲が邪魔になって、本来の機能を発揮できない恐れがあるためだ。
政府当局者は「天候の悪化は、ミサイル発射に支障はないものの、ミサイルの軌跡が正確に把握できない恐れがあり、発射を延期する場合がある」と説明した。
▲技術不足〓北朝鮮がミサイルを目標地点まで到達させる自信がないために時間を引き延ばしているという分析もある。
北朝鮮は、98年8月、「テポドン1」の発射実験に失敗したと言われている。北朝鮮は当時、人工衛星を大気圏外の地球の軌道に進入させるための発射だと主張したが、米国が探知した結果、地球の軌道で北朝鮮の人工衛星は発見されなかった。
このため、射程距離が「テポドン1」に比べて2倍から10倍近くになる「テポドン2」の発射を成功させることは疑わしいとされる。
また、発射されたミサイルが米国や日本によって迎撃される憂慮のために発射をためらっているという分析もある。
北朝鮮としては、国際社会に「核はあるものの、核の運搬能力がないか、あるいは能力不足だ」という認識を与える点を恐れざるを得ない。核保有をカードにして、6者協議などを通じて国際社会でできるだけ多くの「政治・経済的補償」を得ようとする戦略が打撃を被るためだ。
▲中国の影響力行使〓ブッシュ米大統領は今月初め、中国の胡錦涛国家主席と電話で、「北朝鮮がミサイル実験を中止するよう影響力を行使してほしい」と要請したという。ライス米国務長官も13日、中国の李肇星外相に、電話で同様の要請をしたとされる。
一部の北朝鮮専門家たちの間では、ミサイル発射の引き延ばしが米国の要請を受けた中国の影響力が作用した結果である可能性が高いという主張もある。しかし政府は、中国が、北朝鮮のミサイル発射問題について、いかなる発言もしていないと判断しているもようだ。
▲対米交渉用〓韓国と日本政府内には、北朝鮮が米国の「ニンジン」提示を期待して、発射実験を猶予、あるいは中止せずにいるという見方がある。
安保関連省庁の関係者は19日、「北朝鮮は最後まで本当にミサイルを発射するかのごとくして、金融制裁問題を話し合う米国との2国間協議を取りつけようとする可能性がある」と予測した。
日本の読売新聞も同日、北朝鮮が米国との直接交渉の機会を確保し、金融制裁を解く狙いがあるという日本政府の一部の分析を紹介した。
実際、北朝鮮は98年、「テポドン1」を発射したのに続き、99年にも「テポドン2」の発射を推進するカードで、米国の北朝鮮経済制裁を緩和させたことがある。
しかし、東国(トングク)大学北朝鮮学科の高有煥(コ・ユファン)教授は、「ブッシュ米政府は、99年当時の民主党政府とは異なる。ミサイル発射は米国の圧迫につながるだろう」と述べた。
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