経済省庁のA事務官は最近、海外研修のために仁川(インチョン)国際空港へ行って驚くような経験をした。
苦労して得た研修機会だったので、ときめく気持ちで空港に着いたが、いざA事務官を待っていたのは出国できないという通報だった。本人も知らないまま、外換(ウェファン)銀行の売却捜査対象に含まれていて、出国禁止措置が下されていたのだ。
財政経済部と金融監督委員会など03年、外換銀行の売却と関連のある省庁の公務員と金融会社の役員は、出国禁止の恐怖にかられている。
検察が出国禁止事実を当事者に知らせないため、「もしかして自分も…」という不安感が拡散しているのだ。さらに事務官など実務者レベルにまで出国禁止措置が下されたことについて、驚きを隠せないでいる。
今まで外換銀行の安値売却疑惑と関連して、出国禁止措置を受けたのは李憲宰(イ・ホンジェ)前経済副首相、李康源(イ・カンウォン、前外換銀行頭取)韓国投資公社社長など高位高官の6、7人程度しか知られていなかった。
財政経済部の関係者は、「実務者レベルにまで出国禁止措置が下されたのを見るに、思ったより捜査範囲は広いようだ」とし、「空港で出国の手続きを踏まないと、出国禁止措置の可否が分からないというのが、人をさらに心配させる」と話した。
法務部の出国禁止業務処理の規則によると、出国禁止の対象者は「犯罪の疑いで捜査を受けている者」に規定されている。したがって、少なくとも内査を受けているか、被疑者身分の場合に対象者になり、参考人は対象者ではないという点で、緊張するしかない。
金融界も例外ではない。
国内都市銀行のB役員も最近、海外出張のため空港に行ったが、出国禁止になっていた。外国係投資銀行に勤めた経歴のある同役員も、本人も知らないうちに出国禁止措置の対象に上がっていた。
金融界は特に、検察が捜査している外換銀行事件と現代自動車のロビー事件がすべて各金融機関と関連がある、という点を注目している。
ある都市銀行のC役員は「予想できなかったところで問題が浮上することがあるので、関連部署に勤めていたなら、誰でも内査の対象に含まれる可能性があるという雰囲気」と話した。
出入国管理法施行令によれば、出国禁止にした場合、対象者にその事実を知らせるようになっているが、検察は個人的利益ではない社会的利益がかかった捜査の場合、大部分出国禁止事実を知らせない。
また、重要な出張など不可避な理由があって検察庁に出国禁止可否の確認要請をすれば、検察が知らせるか、一時解除してくれるが、これを活用する事例は多くない。
一方、最近、無事に海外出張に行ってきた数人の経済関係の公務員は、検察の捜査に含まれていないことが確認できたとして、ホットしている。
金融監督委員会の関係者は、「外換銀行と現代自動車の捜査が長期化、拡大して、出国禁止が乱用されるのではないかという疑惑が持たれる」とし、「正常な業務遂行のためにも、捜査が早く終決することを望む」と話した。
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