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PK戦、悪魔の創造物か 06ドイツW杯

PK戦、悪魔の創造物か 06ドイツW杯

Posted July. 03, 2006 03:28,   

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恐ろしい。考えただけでも眼の前が真っ暗になる。11メートルのロシアンルーレットゲーム。PK戦を前にしたGKの不安。しかし、さらに不安なのはキッカーの方だ。GKはゴールを奪われても済むが、キッカーは入れられなかったら、その瞬間逆賊になる。

1994年、米国W杯の決勝戦であるブラジル—イタリア戦でのPK戦。ブラジルの3—2のリード。イタリアの最後のキッカー、ロベルト・バッジョが11メートルの距離にボールを置いた。その時までバッジョは16強のナイジェリア戦で2ゴール(終了2分前の同点ゴール、延長戦のペナルティーキックゴール、2—1勝)、8強のスペイン戦で2ゴール(先制ゴール、終了2分前の決勝ゴール、2—1勝)、4強ブルガリア戦で2ゴール(2—1勝)など、イタリアを決勝まで導いた主役だった。ブラジルのGKはタパレル。バッジョは、大きく深呼吸してから走り、力強くボールを蹴った。しかし、まさか。そのシュートはゴールポストをはるかに越すホームランボールになってしまった。その時からバッジョは、イタリア国民の「公共の敵」になった。愚か者になった。バッジョは、「普段のように蹴ったが、どうしてあんなところへ飛んでいったかわからない」とつぶやいた。勝者のタパレルは、「それでもあなたは偉大だ」と慰めた。しかし、無駄だった。イタリアのファンは冷たかった。バッジョは、「私が(ナイジェリア戦)ペナルティーキックを成功させたことは誰も覚えていない。しかし、ミスをしたのはいつまでも覚える」と文句を言ったが、仕方なかった。

そうだ。PK戦は結局、「メンタル(mental=心理的な)ゲーム」だ。理論どおりなら、ペナルティーキックもPK戦もキッカーが勝つようになっている。しかし、本番ではそうはいかない。ゲームの途中は、死角地帯でよくゴールを成功させていたキラーも、いざPK戦では、「くそボール」を打つ。心が揺れるからだ。バッジョは、「心の勉強」を一番とする仏教信者だ。なのに、一瞬「心の平静」を失った。

イタリアとイングランドはW杯でPK戦になると、必ず敗北を喫するチームとして有名だ。PK戦が導入された1982年のスペインW杯以来、3戦全敗。一度も勝てなかった。イタリアのマスコミは「PK戦は悪魔の創造物」とまで言っている。ブラジルとフランスは2勝1敗。スペイン1勝2敗、オランダ1敗、メキシコ2敗。

PK戦の強国は、断然ドイツとアルゼンチンだ。両チーム共に02韓日W杯まで3戦全勝。その両チームが今大会の8強戦で、「一歩も譲れないPK戦の対決」を繰り広げた。ドイツの勝利で、W杯PK戦4戦全勝の記録を立てた。アルゼンチンは3勝1敗。ドイツの選手はアイスマン(ice man)だ。氷のように沈着だ。反面、イタリア、スペイン、メキシコなど、情熱的なラテン系列が大体弱い。

サッカーボールは生き物だ。絶えず動き回る。試合中、シューティングはほとんど生きているボールのお尻を蹴飛ばすようだ。しかし、PK戦は「止まっているボール」の腰を蹴る。「死んでいるボール」を頑固な四角形のゴールポスト内に蹴り入れる。GKは風だ。キッカーは風に心を読まれたら終わりだ。風の花に心を奪われると、ゴールポストは真っ暗になる。人生も同じだ。水のように淡々としていなければならない。淡々な水の中は誰も知らない。風は幻想に過ぎない。



mars@donga.com