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組合員が明かす「地獄の9日間」 ポスコ労組スト終結

組合員が明かす「地獄の9日間」 ポスコ労組スト終結

Posted July. 22, 2006 03:12,   

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「地獄から抜け出した思いです」

21日未明、慶尚北道浦浦項市(キョンサンブクド・ポハン市)に位置するポスコ(POSCO)本社ビルの5階から12階までの座り込みストの現場から抜け出した地域建設労働組合員のほとんどは敗北感よりは安堵の気持ちを表した。組合員たちは一様に組合の指導部への不満を並べた。

▲「過激派が放火するのでは、びくびくした」〓組合員たちは、「指導部が組合員の自主解散を強制的に止めた」とし「早期解決もできた状況をこじらせた」と口をそろえる。

ストの長期化で発生した患者の治療のため、ビルから出ようとしたが、指導部が「我々の機嫌を損ねたら、仕事を与えない」と脅した、という話まで出た。

ある組合員は、「関節の手術を受けたばかりだったので薬を飲まなければならないのに、薬がなくなってすごく辛かった」とし「16日からビルから出ようとしたが、指導部がさえぎったため、出られなかった」と述べた。

この過程で組合員と指導部が揉めていたことも伝えられた。ある組合員は、「指導部にほんろうされた」とし「組合委員長が敗北を認めて解散しようとした時に、警察がスト参加者全員を検挙する、といううわさが流れたのは、自分らの検挙を避けようとした指導部の仕業」と憤った。

また、他の組合員は、「一部の過激派がビルに火をつけ、(座り込み現場にいた)2000人が皆殺しにされるのではと、本当に怖かった」と打ち明けた。21日未明、一部の指導部が組合員たちにまぎれてビルから出たことについては「裏切られた感じ」という声も聞こえる。

指導部は死守隊と行動隊をつくってビルの1階に向かう階段を守らせた。20日未明には階段を下りようとしていたある組合員が死守隊のパイプに頭を打たれ、血を流しながら1階のロビーに現れる場面もあった。

このため、座り込み現場から抜け出そうとした組合員の多くは、死守隊員の監視の目を盗んで書類運搬用のエレベーター通路や配管をつたって降りるしかなかった。

▲戦場をほうふつとする現場〓すべての組合員が抜け出した現場はさながら戦場だった。階段にはバリケードとして使われた椅子などの事務室の用具が人の背丈ほどの高さまで積まれており、事務室のいたるところには、仕切りが紙くずのようにぐしゃぐしゃになっていた。また、壊れた事務室の用具や食べ残したカップ麺、菓子などが悪臭を放ちながらあちこちに散らかっていた。

ビルの中には鉄パイプが転がっており、特に4階から5階に向かう階段口の周辺では、警察の侵入をさえぎるために作った私製火炎放射器と大型LPガス容器が3,4本、目についた。

非常口表示灯の電線は引っ張り出されて垂れ下がっており、ポスコ側が18日、電気供給を絶ってからは、この電線が非常照明の電力の供給源として使われたことを物語っていた。天井の蛍光灯は組合員の武器として使われたらしく、ほとんどが抜き取られ、10個あまりしか残っていなかった。

20日に水の供給が絶たれてから、トイレの便器には汚物がたまり、悪臭で息もできないほどだった。

ポスコの関係者は、「公開された5階の他にも、ビル全体がかなり痛んだ」とし、「警察の現場調査が終わる23日から内部修理を行い、正常業務ができるまでには1週間ほどかかる見込み」と述べた。

▲夜と昼の感覚がなくなった〓スト期間中に組合員はカップ麺とチョコパイで空腹を満たしていた。ビルの中だけで生活していたため、昼と夜の感覚を失い、起きたら食べ、眠くなったら寝る生活を繰り返した。夜には寝袋がないと寝付けないほど寒かったという。

組合員たちは食べ物の心配はなかったが、断水以来はトイレで用をたすのがもっとも苦しかったと打ち明けた。特に喫煙者らはタバコを切らして禁断症状まで見せたりしたため、ある組合員は「タバコさえあったらストを続けることもできたかもしれない」と話した。



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