●情通部—IT・CEOらが一堂に会した理由
27日ソウル中区小公洞(チュング・ソゴンドン)のウェスティン朝鮮(チョンソン)ホテル。盧俊亨(ノ・ジュンヒョン)情報通信部長官の主催で、三星(サムスン)電子の李基泰(イ・ギテ)社長、LG電子の朴文和(パク・ムンファ)社長、パンテックの金日中(キム・イルチュン)社長など、携帯電話メーカーの最高経営者(CEO)13人が出席する朝食懇談会が開かれた。
同日の懇談会は、最近世界市場のシェア減と利益減で伸び悩んでいる携帯電話業界の苦情を聞き、発展策を話し合う趣旨で開催された。情報通信部が携帯電話業界のCEOらとこのような集いを開催するのは初めてだ。
関連業界の代表らは、口をそろえて経営難を訴えた。「国内の部品事業が活性化していないので、業界全体の経営が厳しい」「内需市場に息を吹き込むために政府が支援してほしい」「中小企業にとって高価な装備は手の届かないものであるため、製品開発が困難だ」などの意見が出た。携帯電話など、韓国の情報技術(IT)産業がピンチに瀕していることが読み取れる席だった。
●失速するIT景気
昨年、IT産業の輸出額は825億ドルで、全体輸出の30%を超えている。10大輸出品目にも、半導体(1位)、携帯電話(3位)、家電(9位)、PC(10位)など、IT商品が4つも入っている。このため、IT産業の低迷は、そのまま韓国経済の減退に跳ね返る恐れがある。
IT景気の不振は、目玉輸出商品である携帯電話からよくわかる。20%に近かった三星電子の携帯電話の営業利益率は、今年第2四半期9.5%と、半減している。LG電子の携帯電話事業は、同期間30億ウォンの赤字となり、世界4位から5位に後退した。
韓国勢が世界トップ圏を総なめしている液晶ディスプレー型装置(LCD)パネルも危ういのは同様だ。LGフィリプッスのLCDは、今年上半期に史上最悪の3220億ウォンの赤字となった。
中小企業の場合はさらに深刻だ。
業界のある関係者は「携帯電話メーカーVKの倒産を目の当たりにして、『他人事ではない』としみじみと思った。現在、セットトップボックスとデジタルテレビ業界では、構造調整と関連した『危機論』が取りざたされている」と説明した。
●環境変化に乗り遅れた製造業の構造的問題が原因
韓国のIT産業が行き詰まった最大の原因は、経済的な環境悪化にある。韓国のIT市場は、03年以降マイナス成長を続けている。このような状況のなか、昨年から世界IT景気も下火となっている。これに追い討ちをかける形で、ウォン高で価格競争力が低下しており、海外勢との競争も激化している。
しかし「より根本的な原因は、IT産業の構造的な問題にある」と専門からは指摘する。
韓国投資証券のミン・フシク研究委員は「半導体産業など製造業は環境の変化にすばやい対応ができず、少しの景気変化にも大きく影響されてしまう」と述べた。
製造業に比べ、ソフト産業が脆弱なためだという指摘の声もある。マイクロソフト(MS)やSAPのようなソフト企業は、製造業の発展を引っ張ると同時に景気変化の影響も相対的に少ない。
●製造業から創造業へ…新製品と新サービスを一足先に
専門家らは、これからは単なる製造業から脱却し、質の変化を図るべきだと強調する。
LG経済研究院のナ・ジュンホ責任研究員は「製造業から創造業へと進化することだ」とアドバイスした。
「創造業」とは、新しいアイデアと想像力で人より一足先に新しい製品とサービスを作り出すものだ。ナ責任研究員は「これからは韓国でもウィンドーズを作ったマイクロソフト(MS)やiPOTを作ったアップルのような企業がどんどん出てくるべきだ」と付け加えた。
積極的に新たな市場を切り開き、突破口を見出すべきだという指摘もある。
東国(トングク)大学経営学部のヨ・ジュンサン教授は「モバイル通信の付加サービスやインターネットサイトなど『国内用』商品を海外市場に拡大させなければならない」と強調した。
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