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ソウル高裁、ベトナム政治犯の引渡請求を拒否

ソウル高裁、ベトナム政治犯の引渡請求を拒否

Posted July. 28, 2006 03:45,   

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ベトナム政府から在タイ・ベトナム大使館爆破テロ事件の主犯と目されているベトナム人容疑者に対し、韓国の裁判所が犯罪人引渡拒否決定を下した。

ソウル高裁刑事10部(部長判事=具旭書)は27日、ベトナム人のグエン・フー・チャン(Nguyen Huu Chanh・57歳)容疑者に対する犯罪人引渡審査請求事件で「グエン容疑者の本国への引渡を許可しない」という決定を下した。韓国の裁判所で政治犯の引渡審査が行われたのは初めてのことだ。

裁判所は、「グエン容疑者は、爆破物を投げ込もうとしたことなど、犯罪事実が13項に上るが、韓国・ベトナム間で締結された犯罪人引渡条約や国内法の犯罪人引渡法など、関連条項を調べた結果、政治犯引渡の拒否事由に当たる」とした。

裁判所はまた、「ベトナムは、犯罪人引渡の条件となる『テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約(爆弾テロ防止条約)』を締結しておらず、米国の9・11同時多発テロ直後に採択された国連安全保障理事会の決議では、具体的な犯罪人引渡義務は定められていない」とし、グエン容疑者が「政治犯不引渡の原則」の例外に当たるとした検察側の主張を受け入れなかった。

今回のソウル高裁の決定は、最高裁に上訴できないものであるため、グエン容疑者は同日午後5時頃、収監されていた京畿道儀旺市(キョンギド・ウィワンシ)のソウル拘置所から釈放された。

外国政府の要請を受けて、検察が請求した犯罪人引渡審査で裁判所が引渡を拒否したのは極めて異例のことである。今回の裁判所の判断は、韓越間の経済的・外交的関係という現実よりも、国際法の基本原則である「政治犯不引渡の原則」に重きを置いたものだ。

今回の決定が韓越間の外交関係に悪影響を及ぼす恐れがあるという懸念の声もあがっている。今年5月、ベトナムのチャン・ドク・ルオン大統領(当時)が自ら韓国の大統領府にグエン容疑者の身柄引渡を要請する親書を出すなど、ベトナム政府はグエン容疑者の身柄引受に相当の努力を傾けていた。

これに対し、外交通商部の当局者は同日「韓越関係には多くの要素が絡んでいるため、今回の請求拒否決定だけで両国関係が冷え込むと見るのは無理がある」と述べた。



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