——現在の韓米関係をどのように評価するか。
「韓米関係は、両国いずれも非常に重要な利害関係があるが、ますます悪化している。そのような流れは、すぐには止まらないだろう。何か努力をしなければ、(韓米同盟関係は)極度に弱くなり、最後には消滅するだろう」
——今回の首脳会談が、両国指導者の認識の相違を確認させる席になるかもしれないと憂慮する声が多い。
「韓米自由貿易協定(FTA)が、韓米同盟回復の契機になり得る重要な方法だ。むろん両国いずれも、支持者グループや非政府機構(NGO)、労組などの反対に直面しているが、両国の大統領がそれぞれ、与党はもとより反対論者にも韓米FTAを訴えて説得するなら、同盟の蘇生に大いに役立つだろう。これが首脳会談で成立すれば、大きな進展を成すだろう」
——韓米間の対北朝鮮認識の相違は、どのように解決すべきか。
「米国は、韓国の態度があまりにも純真(naive)だと考える。いっぽう韓国人たちは、米国が北朝鮮に対してあまりにも好戦的だと考える。至当な言葉だ。米国は、北朝鮮に対して「望ましくない(unfortunate)」発言をした。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も然りだ。両者いずれもそうだった。目標の優先順位においても、根本的な違いがあった。米国にとっては、世界が最も重要で、2番目が北東アジア、3番目が韓半島だ。しかし韓国は違う。にもかかわらず利害関係の重なる部分が多い。その部分を重視して、集中しなければならない」
——両国政府の態度にどのような問題があるのか?
「北朝鮮の偽ドル製造問題を例に挙げてみよう。同問題は約10年前から出ていたが、なぜ今再び起こったのか?静かに解決を図って、それでもだめならば公にイシュー化すればいい。しかし米政府は、まずイシュー化してしまった。このように『対立モード』にすることは賢明ではない。いっぽう韓国政府は、米国を非常に疑っている。米国が、北朝鮮の核およびミサイル基地を爆撃するのではないかと疑う。しかし韓国が、度々そうするように、北朝鮮が嫌がることを言わず、北朝鮮の問題を認めないことも過ちであるのは同然だ」
——ホワイトハウスが、盧武鉉政府を信頼しなくなった理由の一つに、ブッシュ大統領は、「北朝鮮を攻撃する意図がまったくない」と重ねて強調したが、盧大統領は韓国国民に「米国が北朝鮮を攻撃しないように防がなければならない」というニュアンスの論理を展開するからだという声がある。
「米国とブッシュ政府に対する盧大統領のそのようなコメントはためにならない。英語にも『shoot from the hip』という表現があるが、盧大統領はあまりにも早急に、あまりにも多くのことを事前に考えずに話す。ブッシュ大統領も同じだ。交渉の基本は、『相手を刺激する重要な問題については、慎重な考慮なしに絶対に話さない』ということだ。両指導者は、いずれもそれができていない。『悪の枢軸』も英語圏の人々には良く聞こえるが、実際はまったくためにならない言葉だ」