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喫煙が万病の根源?

Posted September. 16, 2006 03:50,   

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馬に乗り込んだまま、タバコを吸っているタフなカウボーイ「マルボロマン」。50年間余り、米国の広告界を牛耳ながら、ただ一つのメッセージを投げかける。「喫煙者は素敵だ」と。

現在、全世界の喫煙人口は約13億人。人の口と鼻で消費される嗜好品のうち、こんなに重宝がられた品目はない。しかし、今日タバコは貧乏の象徴、各種の疾病と死亡の原因として扱われている。2006年、米国シカゴの高速道路には猿が煙草を加えたまま、こんなに言う広告看板が立っている。

「率直に告白しよう。口臭、痰の固まり、癌… タバコを吸うのが恥ずかしい」

愛煙家たちはこの本を見て心をなぐさめてみよう。この本は喫煙が時代、環境、人種、文学、芸術によってどのように変わってきたのかを文化史的に取り上げている。米国大陸で原住民たちが医学用、または儀礼用で使ったタバコのはっぱがコロンブスの新大陸発見後、全世界に広がった経路を追跡する。また、各国別にタバコの社会的意味など喫煙の世界征服史と衰落の過程などをひと目でみることができる。

愛煙家なら16世紀、英国では喫煙が「治療の象徴」だったという事実が嬉しいかもしれない。1586年、英国の科学者トーマス・ハリオットはタバコを「胃腸と頭の邪気や汚い体液を浄化し、身体を保護する神々しい煙」だと話した。

美術史、人類学、音楽、映画など各分野の専門家である著者33人は芸術の中の喫煙のメタファーもおもしろく解いている。シャーロック・ホームズのパイプは彼の推理力に慎重さと権威を与え、ポップアートはジェームズ・ディーン、マーロンブランドがタバコに火を「つける」姿で、若さと反抗を視覚化した。銀幕の喫煙者のうち、一番成功した俳優に数えられるマレーネ・ディートリヒ(1901〜1992)は脚線美とともにタバコをペルソナに活用し、全世界の男性観客に興奮を与えた。

嬉しいことは、英語版の原書で抜けていた韓国の喫煙話も含まれている点だ。タバコを取り上げた韓国の最初の本である朝鮮後期の文人である李オクの「烟経」を紹介している。老若男女すべてタバコを楽しんだ朝鮮後期のタバコ文化を見せてくれている。

この本を読んでいると、「少なくとも本を読んでいる時だけは、愛煙家の士気を高めよう」という思いさえ起こる。

「私のタバコの先から出る煙と私のペン先のインクがまったく同じく楽に流れたら、私の著述はアルカディア(バロック文学の虚飾を排除し、自然性を回復しようという文学運動)にある」

愛煙家だったベンヤミン(1892〜1940、ドイツの文化批評家)の言葉だ。原題『A Global History of Smoking(2006)』。



zozo@donga.com