歌手「ピ」と女優ソン・へギョが出演したドラマ「フールハウス」の製作会社であるKBSは昨年9月、同ドラマを中国に輸出するため、中国政府に審議を要請した。
ところが、1年近く経つ今まで中国政府は何の答えも返して来ない。二人の韓流スターが出演したドラマなので、かなりのヒットを期待していたKBSは、「予想外の暗礁」に乗り上げ、やきもきしている。
放送界は、中国政府が韓国ドラマの輸入が多いという理由で審議を引き延ばしにしていると分析する。
今年に入り、映画、ドラマ、音楽といった映像・音楽コンテンツの輸出に赤信号が灯っている。
19日、韓国銀行が集計した「サービス貿易の細分類統計(EBOPS)」によると、今年1月から7月までの映像・音楽コンテンツの輸出は9700万ドル、輸入は1億3540万ドルと3840万ドルの赤字だった。
文化業界の一角で懸念している「韓流の危機」が統計で立証されているのだ。
●「韓流の危機」は始まったのか
文化観光部によると、04年の音楽・映画・放送コンテンツの輸出は1億6281万ドル、輸入は1億4535万ドルに達し、1746万ドルの黒字だった。テレビ番組は02年以来4年連続で黒字を出している。
毎年、テレビ番組の黒字規模が拡大するペースからして、少なくとも今後数年は「韓流ブーム」が続くという見通しが放送界内部から聞こえている。
しかし、韓国銀行が今年から取り始めたEBOPSは、韓流が一歩間違えれば「寒流」に変わる恐れがあることをほのめかしている。EBOPSは、映像・音楽のほか、運輸、旅行、通信など、11のサービス分野の貿易動向の把握に使われる統計だ。
韓国銀行は「今年から統計を取り始めたため、従来の統計との比較はできないが、韓流ブームが冷めつつあるという一つの指標として捉えることはできるだろう」と述べた。
●ぬるくなった「韓流ブーム」
日本テレビのホームページには、「ドラマチック韓流」というコーナーがある。日本テレビで放映されたか放映予定の韓国ドラマを紹介するコーナーで、「パリの恋人」「秋の童話」など、韓国の人気ドラマ12本のキャストやあらすじ、放映の日付などが掲載される。
しかし、今年に入ってから放映された韓国ドラマは1本もない。日本での韓国ドラマの人気がいまひとつであるためだ。
現に、今年3月、韓国放送映像産業振興院がまとめた「日本における韓国ドラマの編成実態と展望に関する報告書」によると、2月末現在、韓国ドラマを編成した日本の地上波テレビ局は計36ヵ所で、昨年2月の64ヵ所から半分近くにまで減少した。
放送専門家らは日本の地上波テレビで韓国ドラマを見るのがだんだん難しくなっていると話す。
放送映像産業振興院の李マンジェ産業研究チーム長は、「日本で大ヒットした『冬のソナタ』以降、似たようなストーリの作品が量産されたため、日本での韓国ドラマや映画の人気が急速に冷めつつある」と分析した。
●岐路に立たされた韓流
経済専門家らは、韓流の危機について「陳腐な素材やストーリーで競争力が低下した上、韓国文化の浸透を懸念した輸入国が規制を強化したため」と分析する。
映像・音楽コンテンツの輸出は、国家イメージの向上など、目に見えない効果が大きいだけに、この分野の貿易収支が赤字に転じたことを重く受け止める必要があるという指摘も出ている。
三星(サムスン)経済研究所のコ・ジョンミン主席研究員は、「香港がアジアの文化市場で脇役に成り下がったように、韓流も商品の競争力を高めないと淘汰は必至」とし「放送と通信を融合したサービスやオンラインゲームなどに韓流の分野を広げなければならない」と強調した。
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