北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が自分とそっくりの代役らを活用しているという報道が出て、関心を集めている。連合ニュースの英語版は先月29日、韓国の情報当局者の言葉として、「金総書記が自分に似ている2人の代役を活用している」と報道した。同情報当局者は、「金総書記が年齢と身長、外貌が似ている人々を選抜して、自分のスタイルに訓練させて、公開場所に送っている」と述べた。
同氏は、「代役らは整形手術まで受けて、外貌を金総書記そっくりにして、振る舞いも(似ていると言われるように)引き続き訓練しているため、随行する人々も偽者だとは考えられない」と付け加えた。
情報当局者は「金総書記は主要行事には直接出向くが、軍部隊や農場訪問のような現地指導には代役をよく使う」と説明した。UPI通信、英国のテレグラフ紙など外信も、このニュースを引用報道して、関心を示した。
政治家らが代役を使うのはよくあることだ。日本の戦国時代には暗殺を避けるためのいわば「影武者」が頻繁であって、数年前まで米国が狙っていたムアマール・アル・ガダフィ・リビア国家指導者とサダム・フセイン前イラク大統領も代役を使ったことが知られている。
金総書記は果たして代役を使うだろうか。過去、東亜(トンア)日報が会った何人かの北朝鮮文化芸術界の関係者と脱北者らもこれと関連して興味深い証言を残している。
▲文化芸術分野出身のA氏〓「北朝鮮には金日成(キム・イルソン)主席の若き時代の役を受け持った俳優が3人もいた。しかし、金総書記の役を受け持つ公式の俳優はいない。試したことはある。1988年、南浦(ナムポ)閘門の建設過程を描いた映画『大きい心臓』が作られた。この映画の原本に初めて金委員長の配役を使った。お世辞のうまい映画部門の高位幹部らが、金総書記に知らせず、配役を選んで2年間の練習の末、映画に出演させたのだ。最後の現地指導をする役柄だった。問題は試演会で発生した。いつものように金総書記が初の観客だった。映画を見ていた金総書記が配役を使った場面が出ると、「あれは記録映画(ドキュメンタリー)から取ってきたものか」と聞いた。本人も代役を区分できなかったのだ」
▲平壌(ピョンヤン)出身のB氏〓「1991年冬、平壌で一番良いお風呂場のチャングァン院の前に立っていた時のことだ。そこは夜明けから並ばないとチケットを買えない。その日、並んでいた人々はうっすらとした闇の中で、高級乗用車が正門に止まって、金総書記が降りることを見た。一瞬、皆が『将軍様、万歳』を叫びながら走っていった。車から降りようとした金総書記は、急いで再び車に乗り込んで消えていった。同日、平壌では『将軍様が朝、チャングァン院を現地指導した』という噂が広がった。しかし、その次の日、『チャングァン院に来た人は、実は、将軍様の配役を受け持った俳優だった』という噂が再び広がった」
▲金委員長を目の前で見たというC氏〓「2000年代の初め、うちの舞台で金総書記の現地指導があった。私は迎え入れる機会を得た。行事の直前、ある幹部が我々を集めておいて、『将軍様に声をかけても、手を差し伸べてもいけない』と注意した。気をつけの姿勢をした我々は、サングラスをかけて、目の前を通る金総書記をただ眺めていた。前は、万歳も叫んで、握手もした。当時、私は金総書記の言葉を一言も聞けなかったのに、何日後の新聞には2紙面にかけて、こういう『お話』をされたと紹介された。新聞に出てくる『お話』は今も変わっていない。私は、仲間らと『部隊に着た人は、偽者ではないか』と言ったりもした。北朝鮮には私のように考えている人が多い」
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