アフリカ・ケニアのある宗教指導者は1ヵ月前、数十名の心棒者と共に自分たちが作った地下バンカーに入った。核戦争に備えて1年間外へ出ない計画だという。食料はもちろん、防毒面と手袋まで用意したと、外信は伝えた。彼らは「審判の日」と決めていた9月12日がもう過ぎたのに、引き続きラジオを聴きながら核戦争のニュースを待っている。「エホバの家」という宗教指導者が北朝鮮と米国の間で核戦争が起きると予言したため起きた騒ぎだとか。
◆異域万里のアフリカ人まで現代版「ノアの方舟」の地下バンカーに身を隠すほどだから、韓国国民の不安は言うまでもない。生活必需品の買いだめのような敏感な反応はなかったが、北朝鮮の核実験がもたらした衝撃は簡単に消えないようだ。成熟した市民精神のためか、太陽政策による安保不感症のためか、表向きは平穏なばかりだ。地下バンカーまで備えたソウル江南(カンナム)地域の最高級マンションが注目されていることを見ると、国民の心が分かるではないか。
◆在来型戦争の場合にも地下バンカーは有用な戦闘指揮または避難施設だ。1961年、朴正煕(パク・チョンヒ)少将が5・16クーデターを指揮した場所も6管区司令部(現在、ソウル永登浦区文来近隣公園)の地下バンカーで、1979年、金載圭(キム・ジェギュ)元中央情報部長が朴大統領らを殺害した後、あらかじめ待機しておいた鄭昇和(チョン・スンファ)当時陸軍参謀総長と一緒に直行したところも陸軍本部(現在、ソウル龍山区戦争記念館)の地下バンカーだった。12・12クーデター当時、盧載鉉(ノ・ジェヒョン)国防長官が身を避けたところもやはり韓米連合司の地価バンカーだった。
◆政府の主要機関と軍指揮部は核の攻撃も避けられる1等級の地下バンカーを持っているという。1等級は全国に23ヵ所だけなので、計2万7000人余り、つまり人口1万人に6人しか退避できないという話だ。一般の国民が避けるところは2、3等級の地下車道か建物の地価、地下鉄の駅舎しかない。核戦争が起きれば、大混乱は火を見るように明らかだ。罪のない国民が放射能を浴びせられるばかりだ。
陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com