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[社説]国情院の愛国心とスパイ捜査の試練

[社説]国情院の愛国心とスパイ捜査の試練

Posted October. 31, 2006 03:00,   

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金昇圭(キム・スンギュ)国家情報院(国情院)長は一昨日、「386スパイ団」捜査と関連したマスコミのインタビューで、「我が社会の実情は衝撃的」と述べた。これまで明るみになった事実は「氷山の一部」に過ぎないという意味と受け止められる。南北双方の実情に一番詳しそうな席にいる国情院長が「衝撃的」と表現したこと自体が衝撃的だ。中核組織の「一心会」が北朝鮮に送った「報告文」を読んでみた捜査関係者らが「びっくり仰天するほどの内容」と言ったのもそうである。

それにもかかわらず、政界の386勢力の捜査中断圧力説と国情院内部の葛藤説も依然としてくすぶっている。果たして国情院が「捜査の剣」を収めずに正常的に捜査を続けて、「スパイの全貌」を突き止めることができるだろうか、憂慮が高まっているのも分かる。国情院の内部でさえ捜査がうやむやになる可能性があるという話が漏れている。国情院は、「一部の推測性報道のため、捜査に困難が多い」とし、これからマスコミに捜査状況を知らせることができないと明らかにした。これが金院長の意志なのか疑問だ。

捜査機関が一斉に一歩退くような異常気流は、金院長の辞意表明をめぐった疑惑の中で、捜査の前途が厳しいことを予告する。特に、大統領府などの386勢力との対立説が事実であれば、「氷山」の露出を防ぐための捜査妨害はさらに執拗になると見るのが正しいだろう。主思派を含めた386運動圏勢力が盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権発足後、政府・国会・市民団体・労働団体・教育界など、国の中枢機関の隋所に布陣しているために予想可能なことだ。これらのグループの理念的・情緒的な連帯感と結束力は多くの形で表出されてきた。

逆に、我が社会の安保意識は限りなく緩められている。金院長も「国民の安保観があまりにも弱くなっている」と残念がった。北朝鮮が「南韓社会がいつ崩壊するか分からない」と考えているはずなのに、先に頭を下げてくるものかと、金院長は反問した。

盧大統領が金院長の辞意を今からでも引き止める可能性はなさそうだ。結局、後任の国情院長の人選が重要だ。まずは目の前のスパイ団捜査を徹底してやりこなせる人物でなければならない。

新国情院長が真相を隠す方へ行けば、我々の安保状況は近いうちに国民を金正日(キム・ジョンイル)集団に捧げてしまう格好になるだろう。金院長が「来年の大統領選挙で政治的な中立を守るためにも、国情院内部の人物を抜擢(ばってき)するのは望ましくない」と述べたのも意味深長な発言だ。親国情院長の人事を見れば、盧大統領の意中を探れるかもしれない。

金院長は、「スパイを捕まえて国家安保をきちんとせよというのが国民の声」だとし、「国情院の全職員が職をかける覚悟で最後まで実体を突き止める」と述べた。国情院の職員らは愛国の気持ちで捜査を進めているとも言った。当然な言葉が国民に一抹の安堵感を与えるほどになってしまったのが昨今の国家の現実だ。

国情院は形式の上では大統領直属の機関だが、国家安保の責任を持つ国民の機関だ。愛国心で団結して自由民主主義を守り抜かなければならない。我々は国情院を信じたい。捜査の訴追機関である検察も積極的に乗り出して、密室捜査ではなく透明な捜査で真相が一つひとつ明かされるように誘導する必要がある。