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「境界人」男性看護士

Posted November. 11, 2006 04:26,   

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9日午後3時、ソウル江南区(カンナムグ)にある三星(サムスン)ソウル病院の救急室。ピンク色の制服をきた男性が、先ほど運ばれてきた交通事故患者の状態を確認していた。彼は、患者の呼吸状態をチェックした後、看護士と会話を交わした。救急手当てを終えて一息したあと、男性の医師とも冗談を交わす。彼の服は医者の白いガウンとは違い、また、女性看護士たちの服とも少し異なっている。

ある患者の家族が女性看護士に、「あの人は医者ですか、看護婦ですか。いったいだれですか」と聞いた。

彼は昨年11月、病院での仕事を始めた救急室の男性看護士である李ソンロ(27)氏。金融危機以来、安定した職場が人気を集め、00年、460人だった男性看護士は毎年地道に増え、05年には1092人に急増した。まだ、看護士全体(21万2200人)の0.51%に過ぎないが、男性看護士の数は急速に増え続けている。

しかし今のところ、男性看護士の数は絶対的に少ないので、彼らは医師や女性看護士の狭間で、あいまいな位置に置かれることが多い。さらに、そのあいまいな身分のおかげで、医師と看護士の間に立って、調整者の役割を果たすこともある。

男性看護士たちは、自分たちを自ら「境界人」と呼ぶ。内部で主流と非主流のアイデンティティが交錯し、一般人にはできない、珍しい経験も少なくない。

▲「だれですか」〓李氏は患者たちから、だれかと聞かれるとき、最もとまどうという。

先日、李氏は40代の救急患者を一日中世話した。その夜、患者は長くこらえていた質問をした。

「ところで…(あなたは)だれですか」。患者は「医師には見えない、わけのわからない男が自分をずっと世話してくれて変に思った」と話した。

「幽霊」扱いを受けるときもある。30人あまりの患者のいる病室で、偶然、二人の男性看護士が夜間当直をしていたとき、患者の家族たちが、何回も案内デスクに駆けつけては文句を言った。彼らは、「どうして病棟に看護士がいないのか」と腹を立てた。

▲男子と女子との狭間の境界人〓三星ソウル病院全体の看護士は1200人あまり。そのうち、男性看護士は34人だ。男性看護士たちがあまりにも少ないので、「男子」としての存在感がないときが多い。

同病院の脳卒中センターの看護士である李ジョンジェ(27)氏は、「先輩の女性看護士たちから、『ジョンジェを早く嫁に出さなくちゃ』『嫁入り道具は用意できたの?』など、からかい半分の冗談を言われるとき、性のアイデンティティの混乱を招く」と笑った。看護大学を卒業した後、昨年3月に勤務を開始した李氏は、看護学科でも、34人の学生のうち男子学生は自分ひとりだったので、このような雰囲気にはすでに慣れている。

同病院の救急室の主席看護士のチョン・ドジン(36)氏は、更衣室でとまどったことがある。更衣室のホワイト・ボードに伝達事項を書いていたところ、人の気配がして振り返って見たら、一人の女性看護士が服を脱ぎながら「こんにちは」と挨拶をしたのだ。

チョン氏は、「自分をまったく男だと思っていないようで困惑した」とし、「女性が絶対多数を占めているから仕方がない」とも話した。

▲境界人としての「調整者」の役割〓男性看護士の真価は、医師たちと看護士の間で、トラブルが起きたとき、さらに光を放つ。男性が多数を占める医師と、女性が多数の看護士との間でトラブルが起きると、解決は容易ではない。男女間に、互いに胸襟を開いて話せる対話のパイプがないからだ。トラブルが起こったからといって、看護士や医師が互いに不満をぶつければ、自体はさらにこじれかねない。

李氏は、「男性看護士は気がねなく、兄弟のように過ごしている男性の医師たちと、酒を飲みながら両方の考えを伝えて問題を解決する」と話した。

また、ソウル・アサン病院の救急室看護士のチェ・インア(36・女)氏は、「私たちに横暴に振舞っても、男性看護士がいると、がらりと態度を変える患者たちも多いので、彼らがいると心強い」と述べた。

つらいことを一緒にやりこなしているうちに、愛情が芽生えて夫婦になった看護士も多い。かつて、男性看護士たちは、麻酔や腎臓透析、手術などの特殊な部門だけに投入されたが、今は、一般病棟など、全分野に渡って進出している。仕事も女性とまったく変わらない。

チョン氏は、「男性看護士というと、精神病棟の大柄のおじさんや、患者の搬送など、力のいる仕事だけをやるとの先入観がある」と残念そうに述べた。

チョン氏は、「患者や読者たちに、『男性看護士』としてではなく、職業人として『看護士の男性』としてみてほしい」とし、「男性看護士の数は急速に増えているので、男性看護士という理由だけで珍しがられる時代はすぐに終わるだろう」と話した。