年例行事のようにストを繰り返してきた現代(ヒョンデ)自動車の労働組合の一部組合員が消耗的な闘争を拒否し、未来志向的な労働運動に転換すると宣言した。同社の70人余りの労働者は、「実質的な雇用安定と生活の質の向上について考えることにした」とし、「新労働連合会」という旗を揚げた。これに参加する意思のある労働者がすでに1000人余りに達するという。
彼らは現代自動車労組の一部の強硬路線が、民主労総の総ストの指針に従って、韓米自由貿易協定(FTA)反対のストを行うことについて、「労働運動の限界を越えた政治的行動」と批判した。12年連続のストを記録した現代自動車の労組に、一部にせよこのような兆しが出たことは、労働運動の変化の可能性をうかがわせている。これに先立ち、韓国労総の李竜得(イ・ヨンドク)委員長は、国の投資説明会に歩調を合わせ、外資誘致を支援してきた。
労使闘争と高賃金に耐え切れず、多くの企業が海外に出てしまうと、雇用もともに出てしまい、労組も萎縮せざるを得ない。民主労総傘下でも、自分たちの既得権のみつかもうとする闘争と社会主義的なイデオロギー運動を拒否する組合員たちが新たな労働勢力に成長すれば、経済発展や雇用創出、労働者の生活の質の向上という好循環に貢献できるだろう。
最近、ジェネラル・モーターズ(GM)など、米国の労使現場を視察してきた現代重工業の労組幹部組合員たちは、「米国では会社が倒産してから労組が正気を取り戻した」と述べている。企業が倒産すれば労組も存在できない。民主労総を脱退して、協力的な労使関係を実践してきた現代重工業の労組は、「もはや政治ストやデモで時間を浪費している場合ではない」との研修報告書をまとめた。
権威主義政権に対する反動で、強硬な労働闘争を始めた大企業の労組は、これまで非組織労働者や中小企業の労働者より、はるかに大きな実を手にしてきた。これら大企業労組は、いまや、国の経済を懸念し、成熟し慎みのある労働運動へと転換する時にきている。今年9月発足したニューライト新労働連合、その活動の方向に共感する労働者たち、そして韓国労総などが、多数の国民の呼応とともに、愛される新しい労働運動を繰り広げてくれることを願う。