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[オピニオン]偉人

Posted November. 20, 2006 07:21,   

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フランス・パリのパンテオンには、フランスを代表する73人の偉人が埋葬されている。その主人公は主に文人や思想家、科学者たちだ。ビクトル・ユーゴやルソー、キューリ夫人たちがそこに眠っている。大統領を歴任した人としてはサディ・カルノ(1837〜94)が唯一だ。

ここに埋葬されているもう一人の偉人のルイ・ブライ(1809‾52)は、視覚障害者のために点字を開発した人だ。

◆ブライが盲学校に入学したとき、視覚障害者のための本はアルファベットを凸彫りにして作った何冊かの本があるだけだった。点字開発の道は険しかったが、彼は3年かけてそれに成功した。わずか14歳のときだった。彼のふるさとに立てられた記念碑には、「目の不自由なあらゆる人に知識の扉を開けてくれた」と書かれている。既成の世代には耳慣れないブライの伝記が、国内の子供向けの偉人伝部門でベストセラー1位を記録した。

◆米国のキャトルは19世紀末、世界人名事典を作って、10人の偉人を選定した。ナポレオンやシェイクスピア、ボルテール、ベーカン、アリストテレスたちだった。1999年、米タイムズは20世紀の代表的な偉人としてアインシュタインを選んだ。20世紀が「科学の世紀」だったことを考えての決定だった。21世紀に入って、偉人についての考え方も様変わりしている。かつての世代が偉人といわれたときに思い浮かべた、型にはまった枠から抜け出たのだ。分野は多様で、幅も広くなった。歴史の中の「偉大な人物」のみならず、同時代の「スター」に対する憧れも目立つ。

◆多様さのせいで、分別がつかなくなったのかもしれない。軽薄で感覚的な大衆文化とメディアの洪水の中で、人類と歴史についての真剣な考え方がなくなったと嘆く声も聞こえてくる。しかし、ある時代の偉人像の中には、社会全体が渇望する「共通の分母」が必ずある。昨今の困難極まりない社会は無能なリーダーシップの影響も大きい。人々は自分だけの偉人を通じて、未来に対する希望を抱こうとしているのではないか。偉人の徳目はやはり洞察力とまじめさだ。カール・ポッパーは、「私たちが待ち望んでいる偉大なる指導者は決してこない」との悲観論を展開したが、私たちはまだあきらめきれない。

洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com