尹鍾龍(ユン・ジョンヨン、62)三星(サムスン)電子副会長は、専門経営人として一番成功した1人と評価される。1996年、三星電子の最高経営者(CEO)の座に就いてから10年間で三星電子を世界的な企業に成長させた一等功臣だ。経営能力の面で見れば、世界的レベルのCEOだ。
尹副会長のゴルフの実力も経営能力に決して劣らない。ハンディキャップ(パー72打を平均的に超過する打数)12(平均打数84)で、「週末ゴルファー」としては相当な腕前だ。
▲ベストスコア76、ホールインワンも2回〓01年11月、財界で尹副会長のホールインワンが話題になった。尹副会長が当時、チェ・ギュワン(現建国大学病院医療院長)三星ソウル病院長らと一緒に、安養(アニャン)ベネストゴルフクラブ(GC)17番ホール(140ヤード)で、8番アイアンでティーショットした球がホールに吸い込まれたもの。
面白いことには、前日、チェ院長が夢で龍を見たということ。ショートホールでティーショットした球を龍がくわえて消えてしまったという。チェ院長は、「尹副会長の名前の最後の文字が『龍』なので、夢と相性が合ったようだ」とし、「彼は最高のCEOらしく、人の夢でも自分のプレーを完成させた」という賞賛の言葉も惜しまなかった。
尹副会長は02年7月にも、江南(カンナム)300CC3番ホールでもホールインワンを記録している。尹氏のベストスコア(最小打数)は76打(4オーバー)。7年前、日本成田空港の近くのグレンオークスCCで初めて76打を打ち、昨年も南部CCで同じ点数を記録した。
▲楽しいラウンドが最高〓尹副会長とのラウンドは、いつも楽しくて愉快だというのが周りの評価だ。本人も「ゴルフに対する哲学」を問う質問に、「楽しみながらやろう」と短く答えた。
尹副会長は普段付き合いのある財界と政官界の関係者、大学教授らとラウンドを楽しむ。三星グループが運営する安養ベネストGCを訪れる時は、同伴者に親切にホールを説明したりもし、ゴルフ関連のユーモアで皆を笑わせたりもする。
しかし、規則と礼儀に鈍感なゴルファーは尹副会長にいい点数がもらえない。尹副会長は「バンカーショットの後、砂を整えなかったり、試合途中、騒がせるなどエチケットを守らなければ、他の人のプレーに邪魔になるので、気をつけなければならない」と強調した。
許東秀(ホ・ドンス)GSカルテックス会長は、「尹副会長は情熱的に努力しながらも、相手を楽にしてくれる長所がある」とし、「彼のゴルフから原則を重視しつつ、革新と創造を繰り返す経営スタイルを垣間見ることができる」と述べた。
▲ゴルフと経営は一脈相通ずる〓今年10月、尹副会長は協力会社の米サンマイクロシステムズと会議をした後、同社のスコット・マクニーリー会長と一緒にラウンドした。ハンディキャップ3でプロゴルファー並みのマクニーリー会長は、初ホールでドライバでティーショットした球が2回もOB(Out of Bounds=プレーが禁止された区域)に飛んだ。しかし、マクニーリー会長は初ホールでダブルボギーを叩いたものの、落ち着いた試合運びで76打で試合を終えた。
尹副会長は、「当時のラウンドで最高の経営者に相応しいマクニーリー会長のリスク管理能力に感嘆した」とし、「リスク管理能力は実際の経営でも非常に重要な変数になる」と述べた。
また、尹副会長は、「ジャック・ニクラウスが『勝つためにはどのように球を打つか、どのようにホールを攻略するかを先に考えなければならない』と言ったように、ゴルフでは戦略的なコース攻略が一番重要だ」とし、「経営でもどのような戦略で勝負に出るかがグルーバル競争で相手をリードできる重要なポイントだ」と説明した。
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