健康保険(健保)の財政が03年黒字に転じた後、昨年まで3年間黒字が増え続けた。地域加入者の健保財政に国庫が支援され、04年12月、タバコ代が500ウォン引き上げられたことを受け、国民健康増進基金が大幅に増えたことによるところが大きい。昨年の今頃、金槿泰(キム・グンテ)当時保健福祉部長官は、ガン診療費の本人負担の縮小、病室食代の支援など、「お金のかかる」ばら撒き対策を打ち出して、「参加型政府の公約である保険の恩恵の拡大が実現している」と自慢した。
◆それから1年が経った一昨日、政府は健保財政に穴が開いたとして、健康保険料を引き上げた。健保料は毎年引き上げられるが、今回の引き上げ率は6.5%で、昨年の3.9%に比べて高すぎる。職場加入者は前年度の賃金引き上げ率(年平均5.5%)を毎年4月に反映し、地域加入者も財産課税表引き上げと所得増加分を11月に反映するため、実際の引き上げ率は6.5%よりはるかに高い。ただでさえ重い税金に苦しめられている国民に、「健保料の爆弾」をさらに投下するわけだ。
◆保険の恩恵の拡大は、その当座は嬉しい。しかし、家計であれ企業経営であれ、国家であれ、収入の余地を見て、支出の計画を立てるのが基本だ。福祉部はその逆にした。年内のタバコ代の引き上げで4100億ウォンが納められるという「仮想の収入」に基づいて、財政運用計画を練った。企画予算処は国庫支援をかえって減らした。予想が外れると、福祉部は健保料を大幅に引き上げて、不足分を国民に押し付けた。
◆健保の財政が健康になるためには、「ダイエット」を先にしなければならない。韓国の健康保険は、「病院へ行けば一週間で治り、行かなければ7日で治る」という風邪の診療の支援だけに年間2兆ウォンを使いながらも、ガンや難病などの重症の疾患に対する保障は足りない。なのに、政府は風邪などの軽い疾患に対する保険の恩恵を、国民の反発を恐れて減らせずにいる。風邪の診療費で3000ウォンを払い、ガン治療に300万ウォンを払うのは国民にも損なことだ。税金であれ、保険料であれ、健保の財政は国民のふところから出ているからである。「世間にはただの昼飯はない」という言葉は、政府と国民の間でもぴったり当てはまる。
鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com