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[オピニオン]「民族史的事変」

Posted December. 06, 2006 06:57,   

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「核実験は、民族の無窮の繁栄に向け、強力な兵器を備えることになった民族史的事変だ」。北朝鮮労働党は10月9日の核実験直後、党幹部と北朝鮮の住民に対する思想教育用の講演資料で、このように自画自賛していた。事変論は「我が国における核実験の成功は、5000年の民族史と世界政治史に特記する歴史的事変だ」、「核実験は、強盛大国の黎明を呼ぶ民族繁栄の一大事変だ」などと続いた。時代錯誤的な主体思想で、半世紀以上も住民を欺いてきた集団らしい詭弁である。

◆北朝鮮を全世界の中の最貧国に転落させ、数百万の住民を飢えさせたのが、彼らだ。核兵器が、民族の無窮の繁栄のための兵器とは、打ち出の小槌だとでも言うのだろうか。北朝鮮専門家でもある朴𨛗用(パク・グァンヨン)前国会議長は、核兵器を「悪性腫瘍」と規定した。彼は、著書『統一は雪崩のように訪れる』で、「核兵器という悪性腫瘍を自らつくり、体の中に持つ北朝鮮は崩壊するしかない」と見通した。

◆北朝鮮当局は、対外広報雑誌『錦繍江山』8月号で、核保有を「全朝鮮民族の安全を担保する民族共同の核の傘」と強弁した。北朝鮮のクォン・ホウン内閣参事は7月、ソウル南北閣僚級会談で、「先軍が、韓国側の安全も守っている」とも述べた。これは、韓国の親北朝鮮左派勢力を狙った発言だろう。韓国社会には、論理的妥当性や現実性のない北朝鮮の主張に同調する人が少なくない。司法試験2次試験の合格者が「韓国の主敵は米国」と言っている世の中だ。北朝鮮の宣伝扇動と韓国の包容政策が、このような状況を煽っている。

◆3日付の米ロサンゼルス・タイムスは、世界最大の造船所である現代(ヒョンデ)重工業を「戦争の廃墟から劇的に立ち上がった復活の象徴」と評価した。しかし同紙は、核実験で造成された緊張を考慮すると、現代重工業は危険に直面した韓国経済の表象でもあると指摘した。北朝鮮の核実験で、韓半島の半分で苦労して成し遂げた民族繁栄が崩壊する恐れがあるという警告である。核が民族の無窮繁栄のための兵器だとは、その「民族」は一体誰を指すのか。

権順沢(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com