西暦67年から7年間、ユダヤ人がローマを相手に起こした「ユダヤ戦争」は、偏狭な民族主義におぼれたユダヤ指導者の扇動のために起きた。5ヵ月間のエルサレムの攻防だけで110万人が死亡した。エルサレムの聖殿は燃え、ユダヤ人は2000年間、国を失って世界をさ迷った。小説家の李文烈(イ・ムンヨル)氏は最近、「ユダヤ人をローマの圧制から解放させるとして、国民を死に追い込んだユダヤ指導者の振る舞いが今日の韓国の状況と酷似している」と慨嘆した。
◆李氏は文芸季刊誌の「世界の文学」に4部作で連載した小説「ホモ・エクセクタンス(処刑する人間)」で、02年の大統領選挙以後の韓国の状況について、「民族も理念も一瞬にブッラクホールに吸い込む国家主導型ポピュリズムが爆発した」と描写した。また、登場人物の口を通じて、「軍隊は主敵を失った」「市民運動が一番効率的な猟官運動の手段になり、官職は官吏になりたくてしょうがない386紅衛兵らの戦利品になった」と語った。太陽政策に対しては、「核という非対称の戦力を保有した北朝鮮に、砂の城のような経済的優位性を持って、どこに使われるかも分からない現金を数億ドルも渡した」と批判した。
◆金大中前大統領と北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記は、エルサレム攻防当時、ユダヤの両勢力の指導者だったヨハネとシモンのように、「大胆に上王のふりをしながら、ことあるごとに口出しをしてはしゃぎまくる(金前大統領)」「ローマ軍の兵器をいくつか盗み出した後、威張りながらローマをからかっている(金総書記)」と李さんは皮肉った。金前大統領は「民族同士」という空しいスローガンで南側の国民を誤導し、金委員長は「核の火遊び」で民族を絶滅の危機に追い込んでいるという指摘だ。
◆ユダヤ史家のヨセプスはこのように記録した。「ユダヤ戦争の時、ユダヤ人の残酷な被害は、ローマ軍が犯した虐殺より、主戦派と和解派の対立、そして主戦派内部の主導権争いによる人民裁判式の処刑と略奪に主に起因した」。太陽政策が生んだ「南南葛藤」も「外勢より怖い内輪もめ」として歴史に残るのだろうか。
李東官(イ・ドングァン)論説委員 dklee@donga.com