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[オピニオン]聖君

Posted December. 11, 2006 06:58,   

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子貢が孔子に、「政治はどのように行えばよいか」と問うた。孔子は、「食糧が豊かで、軍事力が十分でなければならず、民衆が信じて従わなければならない(足食足兵民信之矣)」と答えた。子貢が再び、「その中でやむを得ず一つを捨てなければならないなら、何を先に捨てるべきか」と聞くと、孔子は、「軍事力から捨てなければならない」と教えた。最近の言葉でいうと、自主国防よりも民生経済、信頼される政府が重要だという意味だ。

◆世宗(セジョン)大王は、韓国歴史上最高の聖君とされる。「農業直説」などの多くの農業書籍の編纂や科学発明で、民衆を食わせようと努力した。豆満江(トゥマンガン)、鴨緑江(アプロクカン)流域の女真族を追い出し、六鎮開拓や四郡設置で、今日とほぼ同じ領土を確保した。漢文が分からず、無念を訴える手段がなかった民衆のために、易しい訓民正音を作成した。「蛮夷のみが文字を作る」という集賢殿副提学の崔万理(チェ・マンリ)の決死の反対も退けた。

◆8日、一部の大学生、市民団体が、ソウル・キリスト教会館で、「先軍政治大討論会」を開いた。発題者の金サムソク氏は、「先軍政治は発音によって『聖君政治』にも聞こえる。『王の政治』を討論する場…」と話しを切り出し、露骨に北朝鮮の先軍政治を称えた。「同じ民族が強い力を持つことに対し、ごく少数を除いてすべて賛成するだろう」「先軍政治のおかげで、分断を終焉させる絶好の機会を迎えた」「先軍政治を見る北朝鮮の目には、矜持と自負心が満ちている」。

◆北朝鮮に「聖君」が存在するというのか。金氏は、「一心会」事件で拘束されたチェ・ギヨン民労党事務副総長の義理の兄で、自分も1993年「兄妹スパイ」事件で4年間服役した386出身だ。大統領直属の疑問死真相究明委員会の調査官も務めた。世間が自分の正体を知らないので、「カミングアウト」でもしようとしたのか。ちょうど昨日、北朝鮮放送は、今年を「先軍勝利の年」と宣伝した。傍聴席のある脱北者住民は、「軍のために人民を飢えさせるのが先軍政治だ」と叫んだ。しかし金氏は、北朝鮮の「聖君」のために功績を立てているのかもしれない。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com