▲マンションと土地に代わって、多世帯住宅に浮動資金が集中〓「『実坪数』を聞くと田舎者扱いされます。ここでは(大地)持分だけ言います。少なくとも坪当たり6000万ウォンはすると思った方がいいですよ」。
3日午後、ソウル江南区三成洞(カンナムグ・サムソンドン)のある不動産屋。年明けなのに、40、50代の女性でいっぱいだった。主に多世帯住宅やビラが売買される。不動産屋の社長が何気なく言った。「再開発がだめだったら、一戸建ての再建築でもするはずです。道路沿いは商業地域に変われば、超高層雑居ビルも建てられるし、内側も種別住居地域指定の変更を推進しています」。
再開発・再建築組合設立委員会さえ立ち上げられていないこの一帯は、大地の持分(建坪14坪)前後の半地下の多世帯住宅の取引価格が5億5000万ウォンに達する。坪当りの価格は国内の最高価マンションである、近郊の「アイパーク」とほぼ同じだ。
不動産市場安定化対策がマンションと土地に集中していることから、相対的に規制が緩い多世帯住宅に浮動資金が殺到している。地方自治体のニュータウンなど、立ち遅れた地域の開発計画に便乗した「問うな投資」や「短期売買」も幅を利かせている。
▲江南地区の多世帯住宅は1ヵ月で4000万値上げ〓多世帯住宅は、世帯別の個別登記になっているため、相対的に購入費用が安く、大地の持分による価格算定が容易であるため、投機勢力の標的になっている。
ソウル江南地区の多世帯住宅密集地域は、この1年で住宅価格が倍増したところも少なくない。江南区浦二洞(ポイドン)一帯は昨年初め、1200〜1500万ウォンだった坪当りの持分の価格が今は3000万ウォン以上になる。江南区論硯洞(ノンヒョンドン)の持分8.4坪の多世帯住宅は、この1ヵ月で4000万ウォン値上がりした2億5000万ウォン(建物全体の価格)で売買されている。
現地の不動産関係者は、「京畿道城南市(キョンギド・ソンナムシ)も再開発の材料のせいで坪当り1800万ウォンするのに、江南でこのくらいは基本だ」とし、「売り物もほとんどない」と話した。
ソウルの江北(カンブク)地区は、自治体の開発計画と共に、税制の盲点に付け込んだ「短期売買」の温床になっている。均衡発展促進地区の麻浦区合井洞(マポグ・ハプジョンドン)一帯は、該当地区に入っていない多世帯住宅が大量に取引されている。4次ニュータウンで拡大指定されるという噂のためだ。恩平区隽山洞(ウンピョング・チュンサンドン)は、「大型建設会社が見ていった」という噂だけで、昨年10月以後、住宅価格が20%以上ジャンプした。
合井洞の不動産屋の関係者は、「持分4.5坪の半地下の多世帯住宅が9500万ウォンぐらいだが、公示価格は1億ウォンにならない」とし、「1世帯2住宅者になっても、譲渡所得税の重課対象でない」と述べた。
▲自治体—建設会社「当分、開発計画ない」〓多世帯住宅への投資が異常な気配を見せている地域は、自治体か建設会社の開発計画がまもなく発表されるという期待感が高まっているという共通点がある。しかし、ソウル市は、04年にまとめた再開発基本計画から漏れているところは当分開発が厳しいだろうと言い切る。ソウル市のチョン・ビョンイル住居整備課長は、「再開発基本計画が10年までとなっているため、その前は一般再開発区域の指定が極めて難しい」と述べた。
三成洞の多世帯住宅密集地域では、施行会社がある建設会社と再建築の請負契約を結んだという噂が広がっているが、事実無根であることが分かった。該当建設会社側は、「事業性のないところなのに、おかしな噂が広がっている」と一蹴した。
不動産情報業者スピードバンクの朴ウォンガプ研究所長は、「政府がマンションと土地を規制している中、漠然とした開発への期待や根も葉もない噂だけで、浮動資金が一挙に殺到している」とし、「政府対策の盲点を示す事例だ」と指摘した。
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