離婚手続きの代行会社D社の代表、李ヒョングォン(34)氏の事業アイディアは、「離婚したくても時間がなくてできない」という言葉があるほど忙しい会社員と共働き夫婦の多い現実から出た。法廷で争う訴訟離婚は弁護士の助けが必要だが、双方が同意する協議離婚は数種類の書類を当事者が裁判所に提出さえすれば済む。李氏は離婚申し込みに必要な書類を役所で発給してもらい、一部は直接作成してあげるビジネスはうまくいくと予想し、2年前に創業し成功した。当時3、4社に過ぎなかった離婚手続き代行業社は現在、全国数十社に増えた。
◆買い物をして配達してくれるサービスから離婚書類の準備まで、恋人の役割から親の代役まで生活に必要な細かい事を代行してくれる生活代行事業が盛んだという。家や居酒屋などに忘れてしまった書類や品物を宅配してくれる代行業社までできた。秘書を別に置くことはない。田舍にあるお墓の草刈を代行業社に任せる人も珍しくない。さらに、親と学校の役割だった子供の教育を引き受ける私教育も、代行ビジネスに属する。
◆できないことがないという役割代行業はテレビドラマ『うわさの7姫』にも登場した。恋人や結婚式のお祝い客の役割代行は基本に属する。親に打ち明けにくいような事情のある学生が、業社で紹介してくれた代行の親を学校に連れて行くこともあるなんて、代行の限界はどこまでなのかわからない。「できないことがどこにある?」という流行語が実感できる代行時代に生きているということだ。
◆全世帯のうち、シングル世帯が00年の15.5%から05年には20%に増加した。これも代行マーケットが大きくなる要因だ。時間の効率的な活用という意味で、代行ビジネスは時間テクのビジネスでもある。代行業社の利用は、自分で仕事を処理する時よりかかる時間と費用が少ないという点で、暮らしの知恵とも言える。しかしお墓の草刈のように真心で行うべきことまで代行に任せる世相には、お金で何でも解決できるという考え方が隠れているようで、やや苦い気がしてならない。
権順沢(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com