大統領や大統領秘書室の人間が話す内容や文に一々反論しようとすると、率直に読者が飽きるか、心配のため控え目な態度になる。それで最近は、大統領の発言がオーバーする感があっても、国民の精神健康を考慮しできるだけ無視しようとする。李炳浣(イ・ビョンワン)大統領秘書室長は昨日、在外公館長会議の演説で盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の4年に対し「それほど大きな過ちはない」と述べて、大統領を否定的に報道するマスコミのせい責任転嫁した。
◆李室長は全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領時代には、社説論調の98%が肯定的かつ希望的だったが、現政権では89%が否定的かつ批判的という調査を引用した。マスコミの自由抹殺状態だった第5共和国の時と比べる意図は、独裁政権によるマスコミ統制が懐かしいという話か。第5共和国の時にKBSに勤めた李室長は「テンジョン(ちょうど9時に全大統領の話からスタートする)ニュ−ス」を流していた放送社内で、独裁政権に向けて抗言でもしてみたのか聞いてみたい。大統領の就任辞準備委院長を勤めた池明觀(チ・ミョングァン)氏は「盧大統領はマスコミの自由をなんとか破ろうと、自己流にしようとした」と語った。李室長は現政権のマスコミ政策を少しでも反省するつもりはないか。
◆不動産バブルが世界的現象という李室長の言い訳も、政策の失敗を隠そうとしていることだ。参加政府発足後、ソウル江南(カンナム)の中大型マンションの価格がおよそ300%まで跳ね上がったが、このような水準の住宅価格の暴騰事例が韓国以外にまたあるのか、公館長会議に参加した大使たちに確認してみてほしい。他の統計はさて置いても、財政経済部の調査によれば昨年に自営業者4万8000人が単純労務者に転落した。しかしながら、李室長の演説文にはいくら見ても大統領を間違って補佐したという事実の話が見えない。
◆李室長はこの演説文を「夜通しで直接書いた肉筆原稿」と紹介した。深夜に作成した文章は激情に流れるか、自己中心の論理に陥りがちだ。ハロルド・ウィルソン元英国首相は「リーダーの最大の財産は、夜にぐっすり寝ることができる能力」という言葉を残した。夜ぐっすり寝てこそ、昼にクリーンな精神で国政を察することができる。深夜には大統領がインターネットもせず、秘書室長が肉筆の原稿も書かないことが国民のために良さそうだ。
黄鎬澤(ファン・ホテク)首席論説委員 hthwang@donga.com