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ロシアに押し寄せる北朝鮮の出稼ぎ労働者たち

ロシアに押し寄せる北朝鮮の出稼ぎ労働者たち

Posted March. 20, 2007 07:15,   

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16日午後2時、ロシア・ウラジオストクから陸路で300キロ離れた豆満江(トマンガン)鉄橋。遠く北の方から北朝鮮の貨物列車が姿を現した。ロシア国境を越える列車は、けたたましい警笛と車輪の音を鳴らしていたが、人が早足で歩行する速度の時速5キロでのろのろ近づいてきた。

貨物車につながる4つのコンテナのうち、最初のコンテナには、ロシア産木材が積まれていた。国境地帯で30以上のコンテナをつなげて走るロシアの列車に比べると、みすぼらしい限りだ。

列車が橋を渡ると、豆満江の堤防の南側の北朝鮮軍詰め所から2人の兵士が出てきた。小銃を腰に下げた兵士たちは、雪原に立って豆満江の向こうのロシア側に目を向けながら詰め所周辺を巡回する。銀白色の雪原を背景に、詰め所のそばの黒い鉄柵が目に鮮やかだ。ハサン市のロシア住民たちは、「豆満江を渡って脱出する北朝鮮住民をさえぎるために立てた鉄柵」と説明する。

西の方に目を向けると、稼動を中止したクレーンと下水管が見えた。クレーンの南側には未舗装の2車線道路が作られていた。ロシア人のガイドは、「いつかあの道路がロシアのハサン地域か、中国の琿春と結ばれるだろう」と話した。

ロシアに入った北朝鮮の列車が最初に停車するハサン駅は、国境鉄橋から2キロ離れている。軌道が違うため、大半の北朝鮮の列車はここが終着駅となる。2001年7月、金正日(キム・ジョンイル)総書記がロシアを訪問した際も、ここで専用列車に乗り換えた。

駅の掲示板には、「パスポートと査証をお持ちください」というハングルの案内文がボールペンで書かれていた。約132平方メートルの待合室には、みすぼらしい身なりの北朝鮮労働者30人あまりが集まっていた。待合室の3つの出入り口のうち、2つはカギがかかっていた。ハサン駅の女性駅員に出入り口にカギがかかっている理由を聞いたが、「彼ら(北朝鮮の住民)に聞いてごらんなさい」とにっこり笑うだけだった。

施錠されたドアの方に座っていた4人の労働者は、手垢のついたカードを回していた。離れたところでは2人が向かい合って将棋を差していた。ゲームをしている数人の労働者を除けば、みんな長距離旅行に疲れているようで、待合室に備え付けられている椅子に横たわっていた。5人の北朝鮮幹部が彼らを見つめていたが、ゲームに夢中になっていた労働者たちは、さほど気にしていない様子だった。

金日成(キム・イルソン)バッジをつけた監視員が待合室に入ってくると、室内はしばらく静かになったが、ゲームは続いていた。黒い上着を着た監視員は、みすぼらしい身なりに顔も洗っていない労働者たちとは違い、顔もさっぱりしていた。

待合室を出てタバコを吸っていた3人の労働者に会った。濃い色のジャンパーに帽子をかぶっていた労働者が「平壌(ピョンヤン)から列車に乗って今朝到着した」と話した。

「行き先は決まったか」と聞くと、一行は「ニージュニイ・ノーヴゴロトに行く」と答えた。列車でニージュニイ・ノーヴゴロトまで行くには、途中でシベリア横断列車に乗り換えてさらに8000キロも走らなければならない。

40歳を過ぎたという一人の労働者は、「今夜、ウスリースクで列車を乗り換え、ニージュニイ・ノーヴゴロトの合宿所に行く」と話し、タバコの煙を吐き出した。

彼らのこわばった顔からは、遠く不慣れな土地に行くことへの恐れが見え隠れしていた。ハサンから近いウラジオストクに行けないのが残念だと打ち明けた一人の労働者は、「ニージュニイ・ノーヴゴロトはここより寒いですか」「建設現場の周辺は夜に歩き回っても安全ですか」など、立て続けに質問をしていた。

3人のうち、すり切れた北朝鮮軍服を着た労働者に、「給料は月いくらか」と聞くと、「地元で生活できるくらいは稼げると聞いた」と話した。

3人は、「北朝鮮から旅費を持って来ていない。ロシア・ルーブルは見たこともない」と口をそろえる。記者がポケットにあった300ルーブル(約1万5000ウォン)を分け与えると周りを気にしながら「ありがたくいただきます」と鷲づかみにした。40歳になるという労働者は、記者の年齢を聞いて、急に「ヒョン(兄貴)」と呼んだ。

10分あまり、一緒にタバコを吸いながら話を交わした。何人かの労働者は「北朝鮮に家族がいたら、早く手紙を出して再会しなよ」とも言った。

会話は青いトレーニングウェアを着た北朝鮮の要員が外に出た途端、途絶えた。要員が記者一行の外見を注意深く見て、「同胞が来たぞ」と言うと、労働者らはこわばった表情で待合室に入っていった。

ここを通過して沿海州に行く北朝鮮の労働力がどれほど多いかは国境の境界地域でも実感することができた。同日午後、ハサン駅から北に40キロ離れたクラスキノの住宅建設現場でも、ウラジオストクから出稼ぎのため南に下ってきた北朝鮮の作業員4人がセメントをせわしく運ぶ姿が見えた。



viyonz@donga.com