韓米自由貿易協定(FTA)交渉の妥結を受けて、雇用市場でも懸念と期待が交錯している。業種によってはリストラの「嵐」が吹きつけるのでは、との懸念も出ている。一方、米国企業の韓国への投資は活発になり、海外就職へのチャンスも増えて就職市場にも「活気」が戻るのでは、との期待も多い。とくに専門職業種を中心に、海外への就職機会が増えると予想されている。
韓米FTAで韓国と米国は今後、エンジニアリングや建築設計など専門職資格を認め合う方法について議論する予定だ。
合意がなされると、専門職の米国での就職機会は拡大されるが、韓国国内での競争は激しくなりそうだ。同じ資格を持っている米国の人材とも競争しなければならないからだ。
米国の人材との競争で有利な立場を確保するためには、特化された実務的な専門性を備えていなければならない。このような専門性を備えている人材なら、キャリアを活かして海外就職や外国系企業への就職を考慮してみるのも良い。
職業評論家の金ジュンソン氏(延世大学教職員)は、「米国の雇用動向を追随すれば、それぞれの職業で『個人ブランド』を築いている人と、そうでない人とで職業市場の二極化が進むだろう」とし、「専門性をもとにした個人ブランドを築いていれば、韓国や米国でより良い職場を選ぶことができる」との見方を述べた。
韓米FTAによって海外企業の国内への投資が増えると、外国系企業の雇用も増える可能性がある。外国系企業に就職するためには、英語などの外国語能力のみならず、実務能力を備えることが重要だ。公開採用を通じて人材を選んでから「育てる」タイプの国内企業とは異なり、外国系企業は即座に現場に投入できる即戦力の人材を好むからだ。
就職情報会社「キャリア」の調査によると、外国系企業で働いているサラリーマンの56.1%が、「外国系企業に入るためには、業務能力がもっとも重要だ」と答え、「語学能力」という回答(6.8%)を大きく上回った。これに備えて、関心のある業種のインターン・シップ活動をしたりアルバイト活動を通じて、実務経験を身につけたほうがいい。
就職情報会社「リクルート」では8日、韓米FTA時代の就職戦略を紹介しながら、「今後、企業は特化された職務能力に劣らぬほど、海外の特定地域に詳しい地域専門家にも注目するだろう」との見解を明らかにした。また、インクルートは「米国が国土が広く、地域ごとに経済事情や産業構造、企業文化などが少しずつ異なるので、韓国企業が該当地域に進出するためには、特定地域の専門家を好むようになる」と説明した。普段から関心のある特定地域について地道に記事などをスクラップしたり、勉強することが求められるという。
インクルートの李光錫(イ・グァンソク)代表は、「韓米FTAをきっかけに、国家間の人材の障壁が次第になくなるものと予想される」とし、「今後、変化する雇用市場に対応するためのキーワードは『職務専門性』や『国際的な感覚』になるだろう」と述べた。
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