盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は「3不政策(大学本考査=大学別試験=・高校等級制・寄与入学制の禁止)を防ぐことができなければ、教育危機にさらされる」とし、「今よりも低い競争でも、十分に韓国は最高の国になることができる」と話した。また、「競争なしには競争力を確保することができない」とも述べたが、韓米自由貿易協定(FTA)の重要性を強調したこととは筋の通らない主張だ。
韓米FTAは対米貿易の増大だけでなく、開放と競争の時代を切り開いたことに大きな意味がある。これを足がかりに先進国に躍進するためには、規制緩和のような制度の整備はもちろん、米国と競争できるレベルの教育と人材養成が必須だ。1994年に北米自由貿易協定(NAFTA)を締結したにもかかわらず、教育を受けた優秀な人材不足で高付加価値産業を発展させることができなかったメキシコの二の舞を踏んではならない。
政府が論述試験の出題類型にまで介入する現在の体制下では大学の競争力向上は図れない。盧大統領は、「世界10位グループの大学では本考査を受けていない」と述べたが、入学試験で政府規制を受ける10位グループの大学もない。ニューズウイーク誌が選定した上位10大学に6位(英スケンブリッジ大学)と8位(英オックスフォード大学)を除いた8大学が含まれた米国では、大学政策が別途にないぐらい自律性を謳歌している。米国の韓国人留学生が10万人を超えているのに、いまだに韓国の大学は規制で縛っておけば良いと考えている政府には苛立ちを覚える。
盧大統領は「政府の関与はドイツ、フランス、英国もしている」と話した。しかし、欧州の大学は政府の規制のために競争力を失い、青年失業層の増加の主犯とされている。「高校の等級制は先進国のどこも行ってない」という発言も事実とは違う。フィンランド、スウェーデンのような教育先進国は、学校別の学業成就度を詳細に公開して、教育需要者の評価を受けている。米国は学業成就度によって学校への制裁までしている。
盧大統領が教育を「平等コード」を維持する手段として考えているなら、国家的に深刻な問題と言わざるを得ない。盧大統領は「やや足りない人も選んで…平等に暮す社会を作ろう」と述べたが、これは大学ではなく、官立の生涯教育機関で引き受けるべきだ。教育に競争原理を取り入れてこそ、教育の質を画期的に向上させることができる。「3不政策」に象徴される干渉万能の大学入学試験制度のもとで、果たして韓米FTA時代を率いる人材が国内で育つことができ、国を守ることができるか疑問だ。