金泰煥(キム・テファン)済州道(チェジュド)知事が一昨日、選挙法違反容疑の控訴審でも当選無効(罰金600万ウォン)が言い渡された。最高裁判所で確定されれば、95年の地方自治制の開始から選出された済州道知事3人が、すべて不名誉な退陣をするか、途中下車する記録を残すことになる。残念で不幸なことだ。
昨年7月に特別自治道に格上げされた済州道は、ハワイや中国の海南島をしのぐ韓国国土の宝であり、グローバル化時代の資産である。長期的に外交、国防、司法以外のすべての行政権限を付与し、香港、シンガポールと競える国際自由都市をつくるというのが政府の計画であり、国民の希望である。当然、道民のレベルの高い自治の力量とリーダーである道知事のビジョンが結合されてこそ可能となる夢だ。
繰り返される「選挙後遺症」を目の当たりにし、済州道が国際自由都市に跳躍する準備ができているのか心配される。済州が特にひどい選挙後遺症に苦しむのは、血縁に地縁、学縁までこだわる閉鎖的な文化風土のためだと道民自ら言う。閉鎖性と排他性が選挙後遺症を生むだけでなく、国際自由都市済州の垣根を高めて発展を害するのではないか、考えてみることだ。
香港、シンガポールに行くまでもなく、済州道と同程度の人口(50万人)のマカオは今、溢れる外国資本と観光客で第2の全盛期を享受している。客室3000室規模のベネシアンホテルを見てもわかるように、マカオはカジノを越え、複合リゾートおよびコンベンション都市に生まれ変わりつつある。エドモンド・ホ行政長官の一貫した開放政策が、大きな力を発揮している。01年の開放後05年までに、外国人の直接投資額だけで51億ドルを超える。
いっぽう「高価な済州」は、国内人までも中国、日本、東南アジアに向かわせている。「4・3事件」に象徴される済州道民の歴史的被害意識を推し量るべきだとする指摘もわかる。しかし、来年には事件から60年が経つ。歴史を後にして未来を準備する時だ。もうすぐ韓米自由貿易協定(FTA)の高波も押し寄せる。「血縁」から自由になった済州道の跳躍が見たい。