1990年代、ブラックミュージックの中心がメロディーだったとすれば、2000年代のブラックミュージックの中心は断然、リズムだ。ティンバランド、アッシャー、シアラなど「ビルボードスター」たちの歌は、一つの中心コードのもとにさまざまなリズムが加わっている。昨年は、ジャスティン・ティンバーレイク、ファーギー、ネリー・ファータドなど白人ミュージシャンたちまでもが、感覚的なリズムを強調するヒップホップ音楽でチャートにランクインした。しかし、25歳の黒人シンガーソングライターのニーヨ(Ne−Yo)にとって重要なのは、相変らずメロディーだった。1年前にデビューシングル「So Sick」とデビューアルバム「In My Own Words」でビルボードシングル、アルバムチャートを同時席巻したことを忘れていないように、ニーヨは来月1日、相変らず粋なポップバラード中心のセカンドアルバム「Because Of You」のリリースを控えている。電話インタビューで接したニーヨは、やはりメロディーのことから切り出した。
「流行もいいけど、メロディーが豊かであってはじめて、みんなが口ずさんでくれて、広く知ってもらえる。デビュー1年で全世界の人々が僕の名前を憶えてくれたのも、歌がよかったからだと思うんだ」
国内でも「So Sick」「セクシーラブ」などニーヨの曲は着信音、通話連結音、MP3などデジタル市場で1億2000万ウォン(ユニバーサルコリア集計)の売上げを記録するほど「大ヒット」した。ここに「セクシースター」ビヨンセの最新のバラード曲「Irreplaceable」を作曲し、ビルボードシングルチャートで10週連続1位の記録を打ち立てたわけだから、デビュー1年でニーヨの生活はすっかり変わっていた。
「一番よかったことは、靴から服まで、僕がほしいものはすべて手に入るってことだよ。まるで子供に、小遣いをアップするからビデオゲームを1日中やれっていうようなものさ。これはジョーク。僕が本当に好きな仕事で認められたというプライドを持つことができて、よかったよ。有名になったぶん、行動に気を付けなきゃいけないってこともあるけど、僕は確かに、音楽のパワーがどれほどすごいかを感じたんだ」
そのパワーは、そのまま負担となって返ってきた。デビューアルバム1枚で、米国内で300万枚のアルバムの販売記録を打ち立てたことで、セカンドアルバムはそれ以上の人気を得なければならない状況だ。ニーヨも人気を意識しないわけにはいかないようだ。
「何よりマイケル・ジャクソン、プリンス、スティービー・ワンダーなど、僕の音楽に影響を与えた先輩ミュージシャンたちに対する尊敬の気持ちを込めたかったんだ。『So Sick』のような甘いメロディーを期待するファンもいるはずだから、いつもそうやってメロディーを作って、その上にリズムと歌詞を載せていくやり方で作業をしたのさ」
「So Sick」の第2弾のような「Because Of You」からラッパーのJay−zが参加した「Crazy」、メロディーと感覚的なリズムを折り混ぜた「Addicted」などが収録された12曲は、1990年代と2000年代の接点にあるような感じがする。「Soul Child」や「Akon」など、仲間でもあり同時にライバルでもある黒人シンガーソングライターたちと違い、ニーヨは「ポップ」な感じを盛り込んだ。「宴Cバル」を云々すると、ニーヨは「仲間同士で親しみを表現し合ってるだけさ」と笑った。
インタビューの間、終始音楽へのかぎりない情熱を示しながら、「映画『マトリックス』で主人公のネオが世界を分析する姿は本当にかっこいいだろ」と言い、ニーヨは唐突に別の話を持ちかけた。「シェイファー・スミス」という本名の代わりに「ニーヨ」という名前を作ったのも、「マトリックス」のためだそうだ。そういえば、ニーヨはまだ25歳。歌手は歌にしたがって成長するという通説を考えれば、これ以上「So Sick」を歌ってはいけないんじゃないか。彼の反応は「ちょっと微妙」。
「その歌は、今まで数えきれないほど歌ったけど、歌うたびに悲しんでたら話にならないよ。今年のグラミー授賞式の候補にノミネートされたけど…。僕はまだまだ若いから、いつかは『So Sick』を飛び越える歌でトロフィーをもらいたいね。音楽は僕がいちばん好きな仕事だから」
bsism@donga.com