盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と金大中(キム・デジュン)前大統領の大統領選介入発言の水位が高まり、「入れ知恵政治」議論が起こっている。
▲金前大統領、「決断せよ」〓金前大統領は26日、ソウル東橋洞(トンギョドン)の私邸を訪れた鄭東泳(チョン・ドンヨン)元ヨルリン・ウリ党議長に会い、「単一政党か連合体をつくらなければ、大統領選挙はしてもしなくても同じだ」と述べた。金前大統領は、「(非ハンナラ陣営統合の)時間がない」と数回に渡って述べ、「誰か一人現われて政局をリードできないなら、決断して突破しなければならない」と強調した。また、「ハンナラ党の候補たちは全国を回って国民に会っているのに、こちらは不ぞろいで、内部のあちこちで衝突している」と指摘した。
金前大統領の発言は、ウリ党関係者たちも認めるように「以前にも増して明確になったもの」だ。これに対して金前大統領側は27日、「与野党を問わず、国民の意思に従って、政策対決をせよという原論的な助言の言葉だ」と話した。
しかし、何度も「政治不介入」を明言にしてきた金前大統領だが、非ハンナラ陣営の統合が膠着状態に陥れば、危機意識を感じて大統領選に介入するのではないか、という分析が出ている。
金前大統領は、28日に金ハンギル中道改革統合新党代表、29日に朴相千(パク・サンチョン)民主党代表に会う。今週は李海瓚(イ・へチャン)元首相、韓明淑(ハン・ミョンスク)前首相の訪問も受ける予定だ。これに先立ち20日、孫鶴圭(ソン・ハクキュ)前京畿道(キョンギド)知事、25日にはウリ党の金爀珪(キム・ヒョクキュ)議員に会った。
▲盧大統領の頻繁な地方外出〓盧大統領もすでに、大統領選の政局に深く足を踏み入れた状態だ。
盧大統領は、ウリ党解体と離党を宣言した金槿泰(キム・グンテ)前議長、鄭東泳元議長を狙って、「旧態政治だ。政治をやめろ」と直撃弾を飛ばした。盧大統領の先制発言は、金前議長、鄭元議長と、盧大統領路線に従うという李海瓚元首相、韓明淑前首相、金爀珪議員ら非ハンナラ陣営候補間の戦線を明確に線引きした。
また、不動産税制問題に関連して盧大統領は、ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)前ソウル市長、朴槿恵(パク・グンヘ)前代表に向けて、「1%大統領」と攻勢をかけた。
全国組織化に入った参加型政府評価フォーラムの主要メンバーがすべて盧大統領の核心側近という点も、盧武鉉勢力の政治介入という批判から自由ではない。
いっぽう、盧大統領は最近になって、週末の地方への外出が頻繁になった。
盧大統領は25日、海軍イージス艦の進水式に出席するために蔚山(ウルサン)を訪れ、式の後、あるホテルで、釜山(プサン)商業高校の同窓約30人と会い、26日にソウルに戻った。これには、釜山商高の同期である車義煥(チャ・ウィファン)革新管理首席秘書官が同席した。
18日には、5・18記念式への出席後、全羅南道潭陽(チョンラナムド・タムヤン)の温泉リゾートで1泊し、翌日支持者とともに光州(クァンジュ)の無等山(ムドゥンサン)に登った。1週間前には、慶尚南道鎮海(キョンサンナムド・ジンヘ)で2泊3日を送り、ソウルに戻る途中、故郷のボンハ村に立ち寄って知人に会い、私邸の工事現場を見回った。
大統領府のある関係者は、「退任を控え、これまで先送りにしていた私的な約束をこなしている」と話した。
このような前・現職大統領の大統領選介入に、ウリ党の文学振(ムン・ハクチン)議員は、「二人が一定の役割を果たすことはあるだろうが、それに依存することは、合ってもいないし正しくもない」と述べた。
二人による入れ知恵は、非ハンナラ陣営で、「金心」と「盧心」の衝突となって現れている。
金前大統領は、昔の支持層を修復すべきだとする見解だが、盧大統領は地域主義の構図に反発している。南北関係でも、金前大統領は無条件のコメ支援を擁護するが、盧大統領は慎重な姿勢だ。南北首脳会談についても、見解の違いを見せている。
しかし政界では、非ハンナラ陣営の大統領選候補を決める追いこみになれば、金心と盧心が手を握るのではないか、という観測が流れている。
▲ハンナラ党、「入れ知恵政治」を批判〓ハンナラ党は、金前大統領の最近の政治介入発言に対して、「国民の念願を無視する入れ知恵政治だ」と批判した。
ハンナラ党の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)スポークスマンは27日、金前大統領が鄭元議長に会って、非ハンナラ陣営の候補一本化を促したことに対し、「金前大統領は、『ハンナラ党が一人で拳を振り回している』と言ったが、民主主義の花である選挙を裏通りの争いに例えることは、前職大統領として不適切な発言だ」と批判した。
さらに、「無謀な権力闘争に介入しない私心のない国家長老としての姿を期待する。時代の流れに逆らって、国民の念願を無視する発言は、慎んでもらいたい」と述べた。
金正薫(キム・ジョンフン)ハンナラ党情報委員長は電話インタビューで、「金前大統領の発言は、イデオロギーや地域感情に訴えるものと映る恐れがある。前職大統領として政治発展のための苦言は必要だが、現実政治に介入して不必要な誤解を招くことは適切でない」と述べた。