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[オピニオン]大統領の「あいつ」

Posted June. 05, 2007 04:57,   

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2003年初め、参加政府の発足に合わせたように「クィヨ二」という少女作家がスターとして浮上した。インターネットの連載小説『あいつは格好良かった』が発刊2ヶ月もしないうちに、20万部以上も売れたためだ。既成世代には題目から理解に苦しむ文化現象だった。歌手・楊姫銀(ヤン・ヒウン)時代には憎くても「恋しき人」だったが、もう「私の彼氏」でも、「その男」でもない「あいつ」だとは。同名の映画で「あいつ」にはハンサムなタレントのソン・スンホンが演じ、インターネット世代を熱狂させた。彼らに「あいつ」は日常の口癖であると同時に強い愛情の表現だった。

◆大統領も参加政府評価フォーラムで「あいつ」発言をした。大運河公約について討論したいとしながら「ところで、あいつの憲法のため討論ができなくなっている、諦めるしかありません」と述べた。しかし、大統領府ブリーフィングの発言録ではこれが違っている。前文で「講演前文を読みやすく整理して掲載する」と前提した後、「ところで憲法上に討論ができなくなっている、諦めるしかありません」と修正した。大統領にとって「あいつ」は日常の口癖だが、愛情の表現ではなかったということを大統領府のほうでも気づいているようだ。

◆「それでは、どうでもいいとのことですね」から始まった大統領の語法については国民も十分知っている。「大統領職を勤めることができない」(2003年5月21日)という発言を、国民は今でも生々しく憶えているが、今度の講演では「先ほど決断したと言って、その翌日に『できません』と言ってはならない」と主張して一貫性を強調した。2004年大統領に対する弾劾事件当時、憲法裁判所の決定文に指摘された「憲法を軽視する大統領」の一貫性が今でも続いているのか。

◆クィヨニは、『あいつは格好良かった』の中で「あいつ」が女主人公と結婚する代わりにしばらくの間、同居することで話を終わらせている。その理由を聞くと、「そんな奴と結婚すれば一生だめになるから」と話していた。いくら一時が良かったとしても「あいつ」は「あいつ」でしかない。「世界的な大統領」が、「信頼性かつ責任性を持って最後までマスコミ改革」を行うため、記者を「書くやつ」ぐらいに公式化しても良い。しかし「あいつの憲法」の発言だけは容認できない。大韓民国の憲法を軽視している大統領を限りなく軽視する国民の姿がはたして見えていないのだろうか。

金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com