▲「我々は決して空言は言わない」〓朝鮮中央放送と平壌(ピョンヤン)放送は25日、朝鮮戦争57周年を迎え、「民族の頭上に戦争の惨禍をもたらす北方限界線(NLL)の真相を論ず」というタイトルの軍事論評で、「(再び西海上で武力衝突が起きた場合)、過去(02年)の西海(ソヘ・日本名=黄海)銃撃戦とは比較にならない戦いとなり、地上と空中を含む全面戦争に拡大するだろう」と主張した。
これに先立ち、北朝鮮海軍司令部は21日、韓国側の領海侵犯を警告し、「南朝鮮政府は、我々の忍耐が正義の怒りで爆発し、繰り返される警告が断固たる行動に移るとき、歴史と民族の前にそのすべての責任を負うことになるだろう。我々は決して空言は言わない」と脅しをかけた。
北朝鮮軍部のこのような主張は、北朝鮮が、南北閣僚級会談を通じて要求している、いわゆる「根本問題」と一脈通じている。
北朝鮮は、05年9月の第16回閣僚級会談で、国家保安法廃止やNLL再設定などの「法的・制度的障壁」の撤廃を主張して以来、徐々に要求の強度を高めている。
第21回閣僚級会談(5月29日〜6月1日)では、「根本問題の解決なしには、南北関係の発展は根本的な限界にぶつかるだろう」という趣旨の発言をしている。
李在禎(イ・ジェジョン)統一部長官は26日、「(海上境界線の問題は)92年の南北基本合意書で原則的に合意がなされており、(今後、再設定の議論が必要なら)その枠組みの中で進められなければならない」としたうえで、「閣僚級会談で持続的に協議する課題だ」と述べた。
▲北朝鮮軍部のねらい〓北朝鮮の主張には、様々な政治的・軍事的底意があると軍当局は見ている。
まず、中国漁船のNLL侵犯防止とワタリガニ漁の漁船保護を理由に、NLLの無力化をねらっているというのが、軍関係者の共通した見解だ。北朝鮮が、12カイリ領海主張を既成事実化するうえで、最大の障害物がNLLだからだ。
また、NLL海域で軍事的緊張を高め、「紛争地域」とした後、韓国や米国との交渉で有利な位置を占めることに活用したり、「交渉カード」として使用したりする布石も敷かれていると専門家たちは見ている。
南北交流が活発になったことで、緩みが出る恐れがある内部体制の結束力をかため、南北関係の進展に不満を持つ強硬軍部勢力をなだめようという政治的意図という分析もある。
さらに、韓国軍の対応姿勢と韓国政府の北朝鮮政策を推し測るための意図的な挑発だと、軍当局は判断している。
軍関係者は、「最近、北朝鮮が西海上にミサイルを発射したことも、NLL一帯の軍事的緊張を高めるための述策だ」と話した。
いっぽう、国防部は26日に発表した「NLLに関する立場」というパンフレットで、「NLLは、1953年8月に国連司令官が設定したが、当時、海軍力が貧弱だった北朝鮮には、非常にありがたいラインだった。北朝鮮側はその後約20年間、NLLに関して異議を提起しなかった」と述べた。
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