1976年5月24日は、フランス・ワインの名誉に泥が塗られた日だ。パリで目隠しをして試飲大会(ブラインドテスト)を行った結果、アメリカのカリフォルニア・ワインに1位を奪われたのだ。テストが詐欺劇だったという主張が出るくらい、フランス全土が大騒ぎだった。
「パリの審判」と呼ばれた同大会30周年を記念し、昨年同日、イギリスのロンドンと米国のカルフォルニア州のナパバレーで再対決が行われた。結果は1位から5位までをカルフォルニア・ワインに譲ってしまった。フランスワインの完敗だった。
◆米国・豪州・チリ・南アフリカ共和国など、安価でよい質を売りにしているワイン生産後発国の攻勢にさらされたフランスをはじめ、ヨーロッパのワイン生産業者が激しい痛手を被っている。「ワイン大陸」の伝統と名声も地に落ちかねないということを物語るものだ。これを見かねて欧州連合(EU)の執行委員会が、欧州大陸のワイン産業の構造調整に向け、27のメンバー国全体の葡萄畑360万haの6%である20万haに葡萄を植えないようにすると発表した。ヨーロッパワインの過剰供給に歯止めをかける狙いだ。
◆欧州産ではない、新大陸ワインが脚光を浴びているのは、低下市場の攻略とワイナリー観光開発など、新しい付加価値を作り出したのによるところが大きい。1本のボトルに数百ドル、数千ドルもする高級ワイン市場を尻目に、たった10ドル前後の質のよいワインで突風を巻き起こしているのだ。5月米国市場に初めて輸出された韓国のコメも思いの外、人気を博している模様だ。全羅北道(チョルラプクト)から出荷された「チェヒ米穀」は10kg1表に34.99ドルで売れた。同価格は、9.07kg(20ポンド)に16.99ドルである米国のカルロスコメの2倍近い高価だが、進出初期としては売れ行きが好調だという。
◆大方は「故郷の味」をしのぶ在米韓国人たちが買い求めているが、韓国もプレミアム級のコメを開発し、このようなニッチ市場を狙えば勝ち目があるということだ。ほかの農産物の競争力も同様だ。少品種大量生産ではない、多品種少量生産でプレミアム級の野菜や果物を生産すれば、競争力をつけることができる。農産物市場でも永遠な強者はなく、戦略と努力次第で韓国農業も活路を見出すことができるということを、新大陸産のワインと韓国のコメが証明している。
鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com